杉村ぐうたら日記(1996年7月1日〜10日)

▲1996年7月1日:月曜日:はたして「趣味:読書」とは?
▲1996年7月2日:火曜日:小説はどこで誰に読まれているのだ?
▲1996年7月3日:水曜日:佐野元春という人
▲1996年7月4日:木曜日:カラオケは世界を凌駕する?
▲1996年7月5日:金曜日:売れなかったシリーズ3『THE 東南西北』
▲1996年7月6日:土曜日:  
▲1996年7月7日:日曜日:雑誌「ダ・ヴィンチ」ストーカー特集
▲1996年7月8日:月曜日:  
▲1996年7月9日:火曜日:  
▲1996年7月10日:水曜日:音楽快楽主義
1996年7月1日(月曜日) はたして「趣味:読書」とは?
 以前「現代用語の基礎的ではない知識」の中に「読書」と言う項目を書いた。

【読書】
どくしょ(名詞)
  1. 履歴書の趣味の欄に取りあえず書く言葉2位。
  2. しかし「どんな本を読んでいる?」と聞かれる場合があるので、その際はたぶん知られていないような海外の作家の本を適当に挙げておけば、面接官なども突っ込みようがない。


 なのだが(ちなみに趣味の1位は「音楽鑑賞」)本当に読書が趣味の人は多いのか?
 スポーツ選手の名鑑とかを見ると「趣味読書」になっている人は多い。野球選手でもサッカー選手でも。ところがその実態というのは漫画を読むことも読書にしてあるらしいのだ。
 たしかに書を読むと言う意味では読書だ。
 かの世界のホームラン王の王貞治も現役時代「趣味:読書」だったが「白土三平のカムイ伝、読んでます」と言う人だった。カムイ伝はま、普通の漫画よりは読みではあるけどさ。

1996年7月2日(火曜日) 小説はどこで誰に読まれているのだ?
 今の仕事に付く前に「仕事をするんなら好きな事に関係した方がいいかなぁ」と言うことで、音楽か本の関係と考えたが、地元で音楽の仕事といったら、とりあえずCD屋の店員ぐらいだったので、本関係の編集出版のある今の仕事を選んだのだ。
 きっと、本好きな人が多く、色々読んだ本に付いて話しあったり出来るんだろうなぁとか思っていた。ところが全然違っていた。

 ときどき、印刷所の方から多く刷りすぎた本や、売れなくて廃棄処分にする本とかが廻ってきて「自由にお持ち帰り下さい」ってのがあるのだが、それが漫画本のときは奪い合い状態。
 が、小説本なんかだとみんな「ふ〜ん」と一通りタイトルを見て「じゃとりあえずこれ」とか1冊ぐらい持って帰るって感じ。
 漫画本は即日完売なのだが、小説本は大量に残され結局、廃棄処分の方に回されてしまうのだ。
 つまり、小説なんて読むヤツはごく小数なのだ。当然、読んだ小説の話なんて出てこない。

 「ねぇマークトゥエィンって何だっけ?」と1人が言い出した。
 「何だっけ?」と言った瞬間にその人はそれが人名だと言うことを知らないと言うのがばれている。で「それって作家の名前だよ、たしか」と話は進展したところで止まった。
 ・・・・「トムソーヤの冒険」「ハックルベリィフィンの冒険」ぐらいは出てこないか?普通。
 うーむ、そんなもんか。

 同僚の女の子2人は、高校の時以来、小説と名が付く物は読んでいない。
 それも高校の時に読んだ最後の小説ってのは教科書の中の小説だ。ちゃんとした小説本ときたら中学校以来読んでいないみたい事を言っているのだ。
 それを恥ずかしいとは当然考えていないのだ(ま、ハズかしい事じゃないとは思うけど)。うーむうーむ。ま、そんな物か?
 逆に漫画を読めない。理解出来ないって人も困ってしまうけど。
1996年7月3日(水曜日) 佐野元春という人
 今週号の「SPA!」の表紙は佐野元春だ。
 でっかいマックらしきキーボードの模型の前で、同様に大きいマウスをギターの様に抱えている写真が表紙として採用されている。

 うーむ、格好悪い (笑)

 この佐野元春と言う人には独特の美学がある。
  「ロックは格好悪い事だってカッコイイのだ」
 これは僕も共感する所が多い。カッコイイだけのロックなんて格好悪いと思っているのだ。だから、この表紙の格好悪さもカッコイイのだ。

 常にギャグに対しても真剣に考える、音楽界の哲学者 (笑)
 大沢誉志幸と吉川晃司と、3人で酒を飲みにいった時、吉川が酔っぱらって凄くくだらないギャグを言った時、酒を飲んでいても冷静な佐野元春は「僕はちょっと違う意見なんだが」と答えたらしい。
1996年7月4日(木曜日) カラオケは世界を凌駕する?
 いわゆる最近のヒット曲は「カラオケで歌われるのを前提」として作られたのが多い様な気がしてしまう。
 それが良いか悪いかは、人の趣味の部分に関わってくるので何とも言えない部分がある。

 が、このカラオケってヤツ、全世界共通言語って事で、アメリカでも爆発的な人気なのだ。って事は、アメリカでも「カラオケで歌われるのを前提」とした曲が出てくる可能性があるって事か?

 うーむ、東南アジアなんかじゃ、完璧にカラオケ用の曲になっているらしいし。
 ま、元来音楽は人々の間で歌い継がれると言うのが正しい音楽だとは思うけれど・・・・。
1996年7月5日(金曜日) 売れなかったシリーズ3『THE 東南西北』
ソニーのオーディション出身の5人組で、1980年代の前期にデビュー。
ハイトーンのボーカルと純朴そうな詩曲が印象深かったグループ。
全員、大林映画でお馴染みの広島県尾道出身で、尾道の東西南北から集まったという理由でこういうバンド名になったと言っていた。
松本隆がこのグループを大絶賛し、作詞を何曲か担当していた。凄く爽やかで、ストレートで、しかもどこかに影があって、と言う感じの少年期のもどかしさを感じさせてくれるバンドだったが、いまいちメジャーになりきれなかった様な気がする。

あの時代、バブリーになりかけた時代で、いわゆるオシャレなAOR系の音(日本ではオメガトライブとか)が主流になりつつあって、こーゆー純朴な爽やか路線は難しかったのかな?
あと、あのハイトーンが嫌いだと言う人も多かったみたいだけど。

ボーカルの久保田洋司はバンド解散後、ソロになり、かなり色々な所で作曲家としても活動している。
たしか松田聖子とかribbonのシングルとかも書いていた。
他のメンバーの消息は不明。

1996年7月6日(土曜日) 
1996年7月7日(日曜日) 雑誌「ダ・ヴィンチ」ストーカー特集
 現実のストーカーの話で有名なのは、キングに「ミザリー」を書かせるきっかけにもなった、熱狂的なファン・マークチャップマンによるジョンレノンの殺害。
 それ以外にも「バックトゥザフューチャー」のマイケルJフォックスも「一番のファン」と言う女性に執拗に狙われていたらしい。
 オリビアニュートンジョンも、彼女の全ての歌は自分に捧げられていると信じていた男に狙われていた。彼は自分とオリビアとの関係を妨害すると言う理由で犬を殺したりしていた。そしてついに彼は弟も妨害する一因として殺し逮捕された。
 と、そう言う実例が色々、今月号の「ダ・ヴィンチ」には書かれていて興味深いものがあった。

 恋愛感情の為のストーカーがもっとも多く、別れ話を持ちかけられた相手を執拗に付け廻す。家の周囲にビラをまく。会社に電話をする。などと言った形で、相手の心の中に自分の存在を押しつけると言う状況が、変質してしまったパターンが多いらしい。

 こういうストーカーになるタイプには、才能や地位を持っている人も多く含まれているらしい。なりやすいタイプとして

「人間関係が長続きしない人」
「衝動的で浪費家、薬物依存、過食症などを繰り返す」
「明確な自己像を持つことが出来ない」
「不安感が強く、人に異様に気を使う」
「自己破壊的な行動を繰り返す」

 などが例としてあげられている。それだけではないらしいので、事前の判断が難しいのだが。
 この手の異常心理物って言うのは、人間の心の深いところにある暗く触れては行けない物をえぐるような恐怖と隣り合わせの好奇心をくすぐる物だったりする。

1996年7月8日(月曜日) 
1996年7月9日(火曜日) 
1996年7月10日(水曜日) 音楽快楽主義
 人によって音楽に求めている物は全然違うと思う。

 音って事を考えてみると、自分の場合、最終的にはアコースティックな音になってしまうのかなぁとか考えている。出だしがフォークギター1本で、音楽を始めた頃の周囲の状況が完璧四畳半フォークの時代だったから、嫌いつつも根に染みついているんだろうな。
 もっとも、同級生がNSPだ、かぐや姫だ、って言っていた頃にボブディランを聴いていたから、ちょっとズレているんだろうけど。

 先日、知人のギターマン大偉氏と話をしたときに「CSN&Y」とかの話が出て「あぁ何かいい」とか思ったのですよ。今まで中学の頃から通して、知り合いの口からそんなグループ名が出たことなかったので、嬉しい限り。あと「CCR」とかもよく聴いていた。
 とにかく、その手の音ってだけで無条件に「にんまり」とした顔になってしまう私であった。

 ここ数年MIDIってのに振り回されて、それを忘れていたんじゃないかな?とか思っている。実際、自分にテクがあるワケではないが、ギターをじゃらり〜んとやった快感ってのは一生忘れちゃいけないなぁとか痛切に感じている。