杉村ぐうたら日記(1996年7月11日〜20日)

▲1996年7月11日:木曜日:売れなかったシリーズ4『伊藤銀次』
▲1996年7月12日:金曜日:ビートルズのビデオ「ビートボックス」
▲1996年7月13日:土曜日:売れなかったシリーズ5『白井貴子』
▲1996年7月14日:日曜日:うひうひ、今日は最良の日(笑)
▲1996年7月15日:月曜日:『王様・浜っ子伝説』
▲1996年7月16日:火曜日:矢野顕子・春咲小紅
▲1996年7月17日:水曜日:ボサノバカサノバBOSSANOV CASSANOVA
▲1996年7月18日:木曜日:オザケンの心変わり
▲1996年7月19日:金曜日:歌謡曲はどこいった?
▲1996年7月20日:土曜日:史上最高の初回出荷枚数!
1996年7月11日(木曜日) 売れなかったシリーズ4『伊藤銀次』
 この人を「売れなかった」と言ってしまってはいけないんだろうか?
 実は伊藤銀次と言う人物は日本のポップスの歴史の中で重要な位置をしめていたりする。
 70年代中期の日本の音楽シーンは、歌謡曲とニューミュージックの天下だった。ロックやポップス(歌謡曲ではない)は実に隅に追いやられた存在だった。
 その中でロックの頂点は矢沢永吉・ジョニー大倉を排出した「キャロル」ポップスでは大滝詠一・細野晴臣・松本隆・鈴木茂がいた「はっぴいえんど」どちらも西洋音楽の中での日本語の可能性を追求していた。が、2〜3年の活動の後に解散をしてしまう。

 その中で細野晴臣は「キャラメルママ」「ティンパンアレイ」と言ったメチャ上手ミュージシャン集団を作り上げた。大滝詠一は「しゅがーべいぶ」と言うコーラス中心のポップスグループを作り上げた。
 その中でこの流れに後押しされて出てきたのが「はちみつぱい」と「ごまのはえ」と言う2つのバンド。
 「はちみつぱい」はメジャーデビューする際に「ムーンライダース」と改名をした。
 もう一つの「ごまのはえ」はメジャー前に解散をしてしまった。が、その中のギタリスト伊藤銀次だけがしゅがーべいぶに参加する事になるのだ。
 これは大滝詠一がそのポップスセンスを見抜いていた事による。そしてしゅがーべいぶ解散後、しゅがーべいぶのボーカリスト山下達郎と伊藤銀次、そして大滝詠一の3人で「ナイヤガラトライアングル」と言うアルバム1枚のみのグループを結成する事になるのだ。

 その後、伊藤銀次は新人ロック歌手佐野元春にほれこみバックバンドに参加する。
 と、同時に当時歌謡曲からの脱却を図っていた沢田研二のプロデューサーとして、ストリッパーや麗人などのプロデュースをし、アンルイスの六本木心中など一連のプロデューサーとして大活躍をするのだ。
 が、自分のソロアルバムもかなりの枚数出しているが・・・・売れない。

 うーむ、最近はウルフルズのプロデューサーで頑張っているが、やはりプロデューサーとか裏方の人なのかなぁ?
 オリジナルアルバムも、とにかく単純ストレートなポップスで凄く好きなんだけど

1996年7月12日(金曜日) ビートルズのビデオ「ビートボックス」
 復活やら何やらで関連商品も多く発売されたりするんですが、今回発売されるビデオは凄い。
 色々な所で行われたインタビューの画像などを編集した物らしいのだ。演奏シーンは一切出てこない。

 この発売メーカーは出版権の関係でビートルズのオリジナル音源は使用できないらしいのだが、それだからって無名のバンドに演奏させた曲をバックなんかに流したりするのは、どうかと思うぞ。
1996年7月13日(土曜日) 売れなかったシリーズ5『白井貴子』
 とりあえず、そこそこは売れたのかな?この人は。
 デビューが資料によると1981年、最初はいわゆるニューミュージック系のポップスを歌っていたんですよ。当たり障りのないポップスを。
 で、デビュー翌年に突然、佐野元春のヒット曲「SOMEDAY」のカバーバージョンを発売したのだ。
 ここらで、佐野元春のバックバンドのリーダー西本明がアレンジャーとして加わり、少しロック色が強くなる。で、自分自身も「クレイジーボーイズ」と言うバックバンドを結成するのだ。

 しかし、客観的に云わせてもらうと、この白井貴子の声質ってはかなり細い。だから、それまでのヘナヘナのアレンジでも持っていたのだ。
 アルバムを重ねるたびにロック色が濃くなってバンドとしても充実した演奏になっていくのだが、それに反比例して彼女のボーカルは音に埋もれたり、浮いたりしはじめてきた。
 時代的に云えば、レベッカが売れたり、チェッカーズが売れたりした頃だから、世間の流れが一般的なポップスでさえロックっぽい感じで動いていたのだ。
 結局、僕は痛々しい感じがして、途中からレコードを買わなくなってしまったのだが、やっぱり「自分が好きな曲」がそのまま「自分にあっている曲」ってわけにはいかないのかな。
1996年7月14日(日曜日) うひうひ、今日は最良の日(笑)
 ひょんな事から、小田原のSyamさんの家まで行って来た。
で、色々書きたいことはあったりするのだが、最後の最後にお土産として、アナログプレイヤーないからさーと言うことで、大量のLPと、ハンドクラッパーを貰ってしまった。なんかうひょひょな気分。
 しかも、LPの方はあんまし中古屋ででもお目に掛からない系のLP。いわゆる初期テクノな人が大喜びしそうなラインナップ。
私も嬉しい嬉しい嬉しいと何度も帰り道つぶやいてしまうほど嬉しかった。
もちろん、趣味の音楽だって事もあるので我が家にもあるLPなどもあるが、その辺は重複しても構わない。私は抱きしめてしまうのだ。

 以下、興味が無い人には「なんだよそれ」の世界だが、私は嬉しくて嬉しくて次に列挙する。

CHIC / C'est CHICBILL HENDERSON / MOANIN'
FLEETWOOD MAC / 牙(TUSK)HERBIE HANCOCK / SOUND-SYSTEM
TANGERINE DREAM / TANGRAMSONNY ROLLINS / SAXOPHONE COLOSSUS
TANGERINE DREAM / THIEFMILES DAVIS / King of Blue
NENA / IRGENDWIE IRGENDWO IRGENDWANNJOHN WILLIAMS / 未知との遭遇
ULTRA VOX / RAGE IN EDENYMO / SLID STATE SURVIVOR
THE B-52's / WILD PLANET(禁断の惑星)YMO / TECHNODELIC(テクノデリック)
PINK FLOYD / THE WALLYMO / MULTIPLIES(増殖)
NAKED EYES / naked eyes坂本龍一 / 千のナイフ
TACO / After Eight坂本龍一 / 左うでの夢
HOWARD JONES / HUMAN'S LIBLOGIC SYSTEM / LOGIC SYSTEM
HOWARD JONES / DREAM INTO ACTIONLOGIC SYSTEM / VENUS
HOWARD JONES / NO ONE IS TO BLAMELOGIC SYSTEM / 東方快車(ORIENT EXPRESS)
THE ART OF NOISE / PETER GUNN'姫神せんせいしょん / 姫神
THOMAS DOLBY / THE GOLDEN AGE OF WIRELESSサンディー/ EATing PLEASURE(Produce細野晴臣・YMO参加)
STEVIE WONDER / HOTTER THANJUKY大友裕子 / 絆
EAGLES / THE LONG RUNNATIVE SON / NATIVE SON
WEATHER REPORT / BLACK MARKET泉谷しげる / 家族
HANK MOBLEY / DIPPIN'日野皓正 / CITY CONNECTION
GLENN MILLER / GLENN MILLER '79 

 ね、一部の人には「おぉ」な世界でしょ?(笑)
 私は明日からこれらをじっくり聞き込んで、じっくりレコ評を書いていくのだ(笑)

>LOGIC SYSTEM / LOGIC SYSTEM
>LOGIC SYSTEM / VENUS
>LOGIC SYSTEM / 東方快車(ORIENT EXPRESS)

 YMOが好きだったので、そのマニピュレータをしていた松原秀樹のLOGIC SYSTEMは聴こう聴こうと思いつつ、今に至ってしまったので嬉しいっす。じっくり聴かさせてもらいます。

 中学〜高校頃に聴きたかった音楽っていうのは、金銭的な理由と、あの当時「レンタル屋」と言うのが存在していなかったせいもあって、聞き逃した、レコード持っていないっていうのが多かったりします。
とにかく嬉しいっす。

追記(1996/7/15)
>YMOが好きだったので、そのマニピュレータをしていた松原秀樹の

 LOGIC SYSTEMは「松武秀樹」でした。
 松原秀樹は「元 THE GOOD BYE」っす。

 でも、ジャーニーズと言う無かれ、この松原秀樹氏は、一番最初にジャニーズから70年代中期に「リトルギャング(その前はリトルリーブス)」と言う2人組でデビューしたワケで、判っているだけでも芸歴は20年以上。
 その後、突然バンドに目覚めジャニーズ関連の「アンク」と言うバンドに参加(スクエアのドラマー長谷部徹も参加していた)でバンドデビュー。
 そして後に野村義男と共に「THE GOODBYE」結成。

 そして現在は「シングライクトーキング」のツアー&レコーディングのサポートメンバーとして参加している、れっきとしたミュージシャンだったりする。

 なんか。LIGIC SYSTEMと、関係ない話になってしまった。
1996年7月15日(月曜日) 『王様・浜っ子伝説』
 ついに買ってしまいました。
私はCD屋に行くのを躊躇していたのだが、遂に行ってしまった。そして案の定、このCD以外にも何枚も購入してしまいました。ま、しゃーわせな気分だからいいか(笑)
 で、今回の王様のビーチボーイズ直訳物は色々な発見があった。

 1970年代中期頃に、あの大滝詠一が「ナイヤガラレーベル」と言う個人レーベルを設立して、そこでCMソングなんかを作っていた。
 その中で実験音楽という感じのコミックソングらしきものをかなり真剣にやっていたのが、今回「浜っ子伝説」を聞いて思い出したのが、その辺の一連の大滝コミックソング。実はこれと同じ事をやっていたのだ。

 20代の前半、ビーチボーイズをかなり集中的に聞いていた頃があったんだけど、ビーチボーイズをそのまま日本語に持ってくると、絶対的にコミックソングになってしまうって事には気が付かなかった。
それと、これは完璧に新発見だったのが、GOOD VIBRATIONSを日本語で歌っているのを聞いた瞬間「これってそのまま甲斐バンドにあった曲だ」って発見。
つまり、意図的か偶然なのか判らないけれど、洋楽のメロディに日本語を乗せてしまうと、それなりに別の曲になってしまうと言う事。

 たぶん「氷のくちびる」って曲。

 で、この「氷のくちびる」のサビのメロディが、どう聞いてもイーグルス「ホテルカリフォルニア」の間奏ギターソロのメロディだったりする。
これが本当に意図したパクリだったら凄いかもしれない、ビーチボーイズもイーグルスも「カリフォルニア」を舞台にした曲なのだが、方やひたすら明るい、方やベトナム戦争終結後の挫折感を抱えた空気のカリフォルニアだったりする。
 その2曲を1つにまとめた物だったりしたら、そりゃ凄い。
 それが王様のおかげで発見できてしまった。
 ちなみに私は「パクリ」ってものを否定するつもりはありません。
1996年7月16日(火曜日) 矢野顕子・春咲小紅
 私が「アッコちゃん」と言ったら、基本的に漫画の「ひみつのアッコちゃん」ではなく「松本明子」でもなく「和田アキ子」でもなく「My Little LoverのAKKO」でもない。
 基本は矢野顕子だったりする。

 やっぱ、この人は天才だと思っちゃうし、楽譜に書ききれない音楽、真似の出来ない音楽(清水ミチ子は真似してるけど)って事で、私は好きだったりする。
 で、なんか7月21日に、矢野顕子としてたぶん一番売れたんじゃないかって言う「春咲小紅」をリメイクしてリリースするらしい。80年代の初期の資生堂だっけ?のCMソングだった曲。
 あの当時はやっと「はっぴいえんど」系列(ティンパンアレー・ムーンライダース・シュガーベイブ)の音楽が世間に認められ始めた頃で、他にもEPO(後期シュガーベイブに関係)とか、ビートニクス(鈴木慶一&高橋幸宏)とか、ポータブルロック(後のピチカート/鈴木慶一関係)とか、なんかもCMに使われ始めた頃で、地道なマニアの私としては嬉しかったっす。
 あと、忌野清志郎&坂本龍一「いけないルージュマジック」なんかもあったし(ちなみにバッキング担当はムーンライダース系)なかなかな時代だった。
 とにかく、矢野顕子があえてリメイクしてシングル発売するってのが、凄く気になる。
1996年7月17日(水曜日) ボサノバカサノバBOSSANOV CASSANOVA
 静岡のFM「K-MIX」でパーソナリティをしている『ボサノバカサノバ』のニューシングルは、なんと森新一がかつて歌っていた「冬のリビエラ」の英語バージョン。タイトルは「夏のリビエラ」

 この曲、かの大滝詠一の作曲で「演歌界に新風を」と言う感じで作った曲。
 この英語バージョンは大滝詠一Verがリリースしていないけど存在している。と言う噂を5年ぐらい前に聴いたことがある。(真偽のほどは不明)しかし、このシングルは大滝コレクターとして買うっす (笑)
 しかし、大滝が「演歌界に新風を」とか「大人の鑑賞に堪えるポップス」と意図して、森新一に「冬のリビエラ」「紐育物語」小林旭に「熱き想いに」などを作ったが、演歌界は封建的で新しい風を受け入れなかったみたい。
 森新一なんて、この2曲でせっかくAOR的な本当の大人の耳にも耐えうるポップスとしての演歌を作ったてのに、その次のシングルがガットギターで始まる(いわゆる湯の町エレジー系)寂しく恐ろしく古くさいド演歌だったもんな。
1996年7月18日(木曜日) オザケンの心変わり
 以前「現代用語の基礎的ではない知識」にも書いたのだが、小沢健二(オザケン)は、マスコミにおける自分の写り方を異様に気にしている。と言う話の中で、過去に所属していたグループ『フリッパーズギター』の名前を出さない。と言うのは暗黙の了解とされていた。
 そのフリッパーズの解散の理由が1人の女を取り合って喧嘩別れしたってのが原因らしく、仲違いをしていたらしいのだ。

 が、今発売されている「WHAT's IN」の中、桑田佳祐との対談で自らフリッパーズの名前を出しているのだ。
 うーむ、意識が変わってきたのか?それとも、1部のマスコミで「オザケンの言葉狩り」と言うのが 色々かき立てられたせいなのか?ま、そーゆー事だ。
 しかし、オザケンに音楽的資質はどれくらいあるのだろうか?

 今、連続ヒットを飛ばしている曲はほとんど2nd「LIFE」からのシングルカットって感じ。
 もう2年前のアルバム。それ以外は筒美京平が作曲した曲や、カローラのCMソングはCMディレクターが作った曲だったし、なんかここ2年の間に作った曲って「流れ星ビバップ」「痛快ウキウキ通り」の2曲だけかも。
 で、1st「犬は吠えるがキャラバンは進む」を聴いてみると、なーんかダラダラした曲のオンパレード。
 ヒットしそうな曲はない。
 もしかしたら、ディレクターによって作る曲が変わるって云う感じなのかな?いわゆる自分で曲を書いているって事になっているアーティストでも実際の所、ディレクターがイニシアティブを取って作曲をしている場合もあったりするし。
 次の3rdアルバムは、現在発売延期になったし・・・・うーむ。
1996年7月19日(金曜日) 歌謡曲はどこいった?
 自分が子どもの頃を考えてみると小学校の中学年ぐらいで、学校で教えてくれる音楽より、流行歌の方が面白いぞって事に気が付き(それ以前から音楽番組は見ていたと思うが)いわゆる歌謡曲にどっぷりはまった。
 そして、大人っぽい内容の詩を訳も分からず歌っていたような記憶がある。で、今の子ども達(小学生)はどんな曲を流行歌として聴いているんだろうか?

 いぜん、山の中で遭難した小学生が寂しさを紛らわすために、一晩中、みんなの好きな歌を歌って過ごしたって云う事件があった。

 その時に歌われた好きな歌ってのが「安室ちゃんの歌」だそうで、あれをアカペラ&ユニゾンで一晩中歌ったか、と思うとなんか隔世の感があったりする。うーむなのだ。
 しかし、歌謡曲がなくなった様に言われているけれど、華原朋美なんて完璧に歌謡曲アイドルでしょ?(三流アイドル出身だったりするけど)
1996年7月20日(土曜日) 史上最高の初回出荷枚数!
 なんか安室奈美恵のニューアルバムが初回出荷枚数「305万枚」で、これまでの記録を破ったらしい。
 つみあげると富士山の何倍だとか、ジャケットは4種類あって、ファンの人なら4枚買うんじゃないかとか色々、朝見たフジ「めざましTV」の芸能ニュースでは云っていたが。

 この「305万枚」っていう中途半端な枚数が、これまでの300万枚を何とかして破るって云う意気込みが出ててほほえましい。
 なんか「全300巻だった手塚治虫全集(講談社)を、全301巻で追い抜いた藤子不二雄全集(中央公論社)」みたいな感じ。

 でも、本当にそこまで売れているの?って気もするんだが、売れているんだろうな。CDの中心購買層の中学生〜25歳までの何割が買う予定なんだろ?

 80年代までは「井上陽水/氷の世界」ってのが、100万枚売れたアルバムって事で輝いていたのに、それどころじゃなくなってしまったなぁ。
 昭和は遠くなってしまった・・・