杉村ぐうたら日記(1998年12月21日〜31日)

▲1998年12月21日:月曜日:クリスマスDYA'S ウェディング
▲1998年12月22日:火曜日:サンタ走る
▲1998年12月23日:水曜日:12人いる!
▲1998年12月24日:木曜日:Cristmas in Blue
▲1998年12月25日:金曜日:クリスマスの夜
▲1998年12月26日:土曜日:クリスマス音頭
▲1998年12月27日:日曜日:懇ろ
▲1998年12月28日:月曜日:孤独なマラソンランナー
▲1998年12月29日:火曜日:年末キャッシュディスペンサー大作戦
▲1998年12月30日:水曜日:年末銀行関連話
▲1998年12月31日:木曜日:今年の私
1998年12月21日(月曜日) クリスマスDYA'S ウェディング
 今から数年前、例の
杉山バラ園でクリスマスに結婚式が開催された。
※結婚式の他、各種イベント用におやすくホールを貸し出しておりますのでお気軽にHPへメールをしてやって下さいませ(宣伝)
 事の起こりは12月の初旬、突然バラ園の常務(同級生)から電話が掛かってきて「今度クリスマスに結婚式やる事になったんだけど、音響関係やってくれない?」などと言う状態になったのだ。
 その電話では思いっきり断定的に「クリスマスに予定無いよね」と決めつけられていたのが、ちと腹がたったのだが、その言葉は間違っていなかったので素直に従うしか無かったのだ。

 その結婚式は、花婿が関西・花嫁が岩手(だと思った)で、何故こんな処で結婚式を挙げるのだ?もしかしてその離れた地域のど真ん中って事で結婚式会場を選んだのか?などと考えてしまった。
 その理由はいたって簡単で、新郎が現在静岡の営業所に勤務していて、結婚後の新居も静岡になると言うものだった。

 そんなワケで、新郎新婦はそれぞれの故郷から親戚一同&友人を呼んで盛大に・・・・・と思ったのだが、よく見るとあまりに女性の列席者が異常に少ない。
 確かに、結婚式と言うのは新郎側の来賓がメインになるし、会社の上司なども来ると言う事を計算に入れていくと、男女の比率は激しく男側に傾いてしまう物かも知れない。
 しかし、さらにチェックしながら見ていると、どうやら招待客の中には新婦の友人という人がひとりも居ないのだ。
 もしかして、新婦って人はムチャクチャ友達が少ない人?と思ったのだが、見ている限りでは花嫁はちゃんと陽気に笑うことの出来る人で、友達が1人もいないってのは考えられそうにないって感じだったので、うむ?と悩んでしまった。

 私は最初の話通りに音響関係を担当して、自宅から持ってきたミキサーなどをいじりつつ、その場にあったBGMの選曲などを任せられて仕事をしていた。
 そして式の途中、それぞれの友人や恩師などからの電報が読み上げられていた。
 それによると、新婦の友人の多くから電報が届いていたのだ。どうも友人がいないワケではなさそうなのだ。

 と言うことで徐々に判ってきた。
 花嫁は23歳、そして今日は12月24日のクリスマスイヴ。
 どう考えても「他人の結婚式より自分のクリスマスの予定の方が大事」って感じの年齢でしょ。
 そんな1年で1番のイベントの日に、のこのこと岩手から静岡まで出てきて他人の幸せを祝福するなんて義理はないのだと思うのだ。
 確かに主役の当人、新郎新婦にとっては一生で一度の思い出の日がクリスマスイヴなんて、ロマンチックこの上ないのだが、そんな日に呼ばれてしまう人にとっちゃ、いい迷惑って事になってしまうのだな。

   ついでに言ってしまうと、僕はこの日、食事などの際のBGMとしてクリスマスの曲がたくさん入った「クリスマスMAX」と言うオムニバスCDをかけていた(グループMAXのCDじゃない)
 このCDをかけていれば、その間は楽が出来るのだ。と、僕は会場の隅にあるミキサーブースで司会者をしていた友人と雑談をしていた。
 と気が付いた瞬間、非常にまずいことになってしまっているのに驚愕してしまったのだ。
 なんとBGMとして「ワム!」の歌う「ラストクリスマス」が流れていたのだ。
 私は会場に来ている人に判らないように、素早くフェイドアウトして音を消し、別の曲を流したりしたのだ。  やっぱ結婚式にその曲はまずいだろなぁ。

1998年12月22日(火曜日) サンタ走る
 以前クリスマスシーズンに見た事件っす。
 その日、僕は仕事を負えて家に帰る途中だった。
 が、道がいつも異常に混んでいて、ちっとも前に進む気配が無かった。

 そんな渋滞の中、後方からバイクのライトが僕の車の横をすり抜けていった。
 と、そのバイクには真っ赤な服を着込んだサンタクロースが乗っていたのだ。いやぁ風物詩っつー感じだよなぁ。
 などと思いつつ、渋滞でもそこそこ簡単にすり抜けて前に進むことが出来るバイクってヤツを羨ましいと思っていたのだ。
 しかしクリスマスかぁ、なんかそんなの関係ない様に忙しく毎日を過ごしているなぁなどと、自らの生活を振り返ったりしつつ、渋滞が解消されるのを待っていた。

 前方の信号が三度目の青を表示した時にやっと、その交差点を走り抜ける事が出来た。その交差点さえ抜ければ後はそんなに問題なく走る事が出来るのだ。
 と、しばらく走った先でとんでもない物を見てしまった。

 さっき僕の横をすり抜けていったバイクのサンタだと思うのだが、警察のパトカーに捕まって何やら言われているらしく首をうなだれていたりするのだ。
 どうも「ノーヘル」だったらしい。
 うーむ、サンタクロースも大変なのだ。
 なんせ空を飛ぶソリでトナカイとやってきても、こんな調子だと航空法とやらに引っかかってしまうのだ。それ以前に領空侵犯で自衛隊に迎撃されちゃうかも知れないのだ。
 いやはや、大変な時代になったものじゃのう。

 今年もピザ屋のデリバリーバイクが全員サンタクロースの格好をして配達をしていたけど、どうやらバイクで移動している最中はヘルメットを被って、客先に付いた処で帽子に被り直すと言う状態らしい。
 しかし、ピザ屋の店先で宅配待機中で複数のサンタがだらけている姿は夢もチボーも無いっつー感じっす。

1998年12月23日(水曜日) 12人いる!
 甥っ子の為にクリスマスプレゼントをどーしようかなぁと言う状態は、直前まで続いていた。
 本来のクリスマスイブの24日は私が仕事だったりするので(それ以外の用事だと言えない処が哀しいのだけど)、甥っ子の処へプレゼントを届けに行くことは出来なかったりするので、去年と同じように23日の天皇誕生日の夜に出かける事になっている。
 しかしだ、先週の日曜日もデパート巡りをしたがいまいち決定打に欠けてしまっていた。
 そんでもって、向こうの家には『NINTENDO-64』があるって事なので、最近TVで盛んにCMをやっているマイクを通して喋りかけると画面の中のピカチューが反応するってヤツを購入しようかなと決心したのだ。
 ・・・が、日曜の2時頃にはすでに「本日発売分は終了しました」などと言う状態だったのだ。
 てことは、23日の朝、おもちゃ屋の前に並ばなくてはいかんのか?

 そんなワケでやや悲壮な決意をして私は今日の朝、何時に開店するか判らない店に8時半頃でかけた。
 場所は取りあえず駐車場の広い「すみや・清水町店」にした。
 と、僕がその駐車場に入った処、4台程の車が停まっていてその内の1台には人が乗っていた。ま、ここの駐車場は近所の人と関係ない人が夜中停めているパターンがありそうなので「私の前には1人だけか」などと勝利を確信しちゃったりしたのだ。
 でもって、すみやの開店が10時だと言うのを壁に書いて有る文字で知り「そうかそうか、やっぱ1時間半近くも待っているヤツァあんましいないよなぁ」などと思いつつ、あんまし意味は無いが電気のついていないすみやの中を覗こうと自動ドアの処までいった。
 と、思わず次の瞬間、私は後づさりしてしまったのだ。
 そのすみやの自動ドアは2重構造になっていて、外部からの寒気や熱、あるいはホコリなどを削除する為にガラスの自動ドアの向こうにもう1枚ガラスドアがあったりするのだ。基本的にその中のガラスドアに鍵がかかるような感じで出来ていると思う。
 つまり、自動ドアともう1枚のドアの間には2メートル近い空間が存在していたりするのだ。
 その空間の中に、いかにも「私たちちょっとチーマー入ってま〜す」と言う状態の若い男女がかなりの数詰め込まれていたのだ。そして覗き込もうとした僕を「じろり」とにらみ返して来たりするのだ。
 「わひっ!」
 私は言葉に成らない心の叫びを出して後ずさった。
 いったいあの集団は何ンなのだ。まさかギネスブックに挑戦!「狭い空間に何人収納できるでしょうか」等言うのを実施しているワケではないと言うのはすぐ判ったが、何故なのだ?と疑問がのこってしまった。
 僕は寒さを避けて、自分の車の中で文庫本などを読み始めた。

 それからしばらく経ち、開店まであと1時間と言う9時頃。
 さっきの自動ドアの方で何やら動きがあったらしいのだ。
 すみやの店内の明かりがつき、その中から人が・・・(僕の車はちょうど入り口の正面だったので、車の中からドアの処が見える)
 しばらくして、さっきまで自動ドアの空間にいた人々が手に手に紙切れを持って出てきたのだ。その人数、数えると12人もいた。
 ま、感の鈍い人でもこの状況からして「整理券を配ったのだな」と判明しちゃったりするのた。「整理券を配っているんなら、私も行かなくちゃいかんな」と車から降りて、すみやの入り口に向かって歩いて行こうとした時だった。
 さっきまで自動ドアの中にいた集団は駐車場に停めてあった車の方へ歩いて行こうとしていたのだが、私が車から降りたのを目撃した途端、その中にいた二人の女性が「すみませ〜ん」などと声をかけながら走り寄ってきたりするのだ。
 うぬぬと思ったが次の瞬間すべての疑問が氷解してしまったのだ。
 その駆け寄ってきた女性は手にさっき受け取ったと思える紙をこっちに差し出しながら「整理券2000円で買わない?」などと言い出すのだ。
 つまり、誰よりも早くやってきて集団で整理券を受け取り、後から来た人にその整理券を売りつけようという魂胆なのだ。商魂たくましいと言うか、せこい金儲けと言うか・・・・。
 が、その差し出された整理券には「ドリームキャスト整理券」などと書いてあったので、ちと私の目的と違うので「あ、いいっす」と軽く断りつつ、そのまますみやの中を覗き込もうと女性から離れて建物に歩いて行こうとした時、背中ごしに「もう売り切れだよ、きゃはは」などといかにも頭の悪そうな捨てぜりふが聞こえてきたのだ。
 うむ〜、なんだか疲れちゃうなぁ
 と、そのドアの処に行くと張り紙がしてあって『ドリームキャスト、本日の入荷予定は12台限りですので先着順とさせてもらいます』などと書いてあったりするのだ。そんでもって、その張り紙の文字の処には早々と赤いマジックで消したように線が引かれていたりするのだ。

 つまりつまり、今TVCMで「頑張れ湯川専務&ジャニーズJr滝沢君」が一生懸命売っているセガのドリームキャストはクリスマス商戦だってのに完璧なる品薄状態で、あっちでも「欲しい」こっちでも「欲しい」てな感じになっている。
 そこに眼をつけたのが、このチーマーくずれみたいな暇な若人12人衆と言う事になるのだ。誰も来ていない朝の8時半ぐらいから、ご苦労な事にすみやに並び整理券を全部ゲットして、後から来た人に2000円なりで売りつけようと言う魂胆なのだ。
 いわゆるコンサート会場なんかでお馴染みのダフ屋(ノミ屋とも言う)と言うワケ。
 しかし休日の朝8時半から寒いのをじっと我慢して12枚の整理券を手にして、それが全部売れたとしても2万4千円・・・・・労働人数12名でその金額って凄くセコイ気がするのだ。
 ま、とりあえず私の目当ては「ピカチューのゲーム」だったりするので、関係ない話だったりするワケで冷静に客観的にその連中の行動を観察する事になった。これで開店までの暇な時間を潰すことが出来るってワケだったりする。

 10時開店に対してお客さんは9時半頃から集まり始めたのだ。
 そんなワケで駐車場に車が入ってくる度に、その簡易ダフ屋の連中は慌てて駆け寄り「ねぇ整理券2000円で買わない?」などと声をかけたりするのだ。頑張れ労働者!と言う感じだったりする。
 しかし、その多くが整理券がすでに終わったと知ると引き返して駐車場を出ていってしまう。そりゃそうなのだ、近くにおもちゃ屋はいくらでもあるのだ。
 あるいは僕と同じように別の目的で来た人なんかもいて、連中の売上は全然と言う感じの様だった。
 中にはおとうさんが運転して来た小学生の子供が泣きそうな顔をしておとうさんを見上げ、仕方がないと言う表情で整理券を受け取っている様な感じもあった。
 連中は整理券が売れると小走りに仲間の集まっている車の処へ駈けていって「売れた売れた」と喜びあって居るので、どれだけ売れているのかが大体把握できたりするのだが、どうも売上は2〜3枚程度と言う感じなのだ。
 しばらく、そんな感じで奮闘を続けていた連中だったが10時10分ぐらい前で諦めたのか、3台の車に分乗して去っていってしまった。
 うーーーーむ、この寒い12月の朝早くから12人も仲間を集めて、約2時間近く(それ以前からかも知れない)時間を費やして、結局売れたのは2〜3枚の 6,000円って処でしょ。なんかワリに会わない仕事をしているなぁ。

 しかし、すみやの方は整理券は既に全部出払っているワケなのに、引替に買っていくお客さんはわずか3名、クリスマス商戦の目玉商品「ドリームキャスト」が何故か殆ど売れ残ってしまう状況になってしまうという不思議な現象が起こってしまうんだろうなぁ
 さすがに引換券を出した手前、整理券を持っていない客に売るワケにもいかずに・・・・

1998年12月24日(木曜日) Cristmas in Blue
 世間一般はクリスマスってヤツで盛り上がっているらしいが、基本的に今日は平日で仕事があって、しかも年末で・・・
 私はいつものようにフガフガ言いながら定時終了のベルさえ記憶にない状態でワッセワッセと仕事をしていた。で、やっと一息つける・・・と顔を上げたのが、残業突入10分頃だった。
 そして私の目の前の席ががら〜んとして、人が居ないって事に気が付いて呆然としてしまったのだ。
 クリスマスってやつぁ

 ま、そんな事もありつつ私は予定もなく、30分の残業だけで家路に向かって車を走らせたりしているのでありますが、このクリスマスの日って言うのは、ふだんは残業していたりする人も一斉に会社を出たりするので、いつも以上に路が混み合ったりしちゃうのだ。
 いつもならば1時間の帰り道がヘタすると2時間ぐらいかかってしまうのだ。
 なんつーか、青信号1回で車が3台ぐらいしか動けない状態。
 そんな予定も無い上、渋滞に巻き込まれてながら、ぼけぇっと街路樹にイルミネイションなどがチカチカしていのを見ていると、ひたすらに切ない気持ちになっちまうのだな、実にセンチメンタルな季節なのだ。
 あぁ心が寒いなどとため息をついたりしている時に、ジャストタイミングでカーラジオからは山下達郎の『クリスマスイヴ』が流れてきてしまったりするのだ。
 あぁきっと君は来ない・・・・・寂しいやねぇ

 そんなワケで切なさ120%の気持ちを抱えて街をのろのろと移動する私ですが、こんな日でもパチンコ屋などは繁昌していたりする。噂では昔よりは落ち込んでいると言うが、それでも駐車場は車でいっぱいだったりするのだ。
 私はハッキシ言ってパチンコを始めとするギャンブル系には全然興味なく、パチンコも最後に行ったのは友人に誘われて3年ほど前に言ったのだと思うが、どうもあの雑多なBGM&騒音&悪い空気ってのがダメで、長時間いれないっす。
 しかしクリスマスの夜にする事無くてパチンコってのもなんか侘びしいよなぁなどと、基本的には同じ境遇の私が嘆いてみたりするのだ。そんな寂しいパチンカー達なのだろうが、そんな時きっと店側が気を利かせてくれて店のBGMを『クリスマスソング専門チャンネル』なんかにしてくれたりするのかも知れない。あぁ切ないなぁ。

 さらに噂に聴いた切なすぎる噂だと、こんなクリスマスの夜、いつも以上にレンタルビデオショップのアダルトコーナーには寂しい若人がワンサカワンサカイェ〜イ状態だと言う。
 以前、冗談で『クリスマスの宴会での罰ゲームで一番嫌な物』と言うのを考えた時に、1位がその「クリスマスの夜、ひとりで寂しくレンタルビデオでAVを借りてくる」と言うのがあった。
 とりあえず回りのみんなも「それは嫌だよなぁ」と答えていたのだが、実際は「いつも以上の賑わい」だそうで・・・・・
 あぁ切ないや。

 結局クリスマスと言う日は「幸せな人はさらに幸せな気分に」「寂しい人はさらに寂しい気分に」と言う、気分を増幅する日なのかもしれない。
 結局、その1年頑張ったかどーかと言う部分を端的に表現してくれる日なのかも知れないのだ。

 あぁ切ないっす。
1998年12月25日(金曜日) クリスマスの夜
 みんな今日がクリスマスだって事を忘れていないか?
 昨日はあくまでも前夜祭「イブ」だぞ。

 そんなワケでまだクリスマス関係の話が続くが、本当にここ5年ぐらいクリスマスにはろくな思い出がない。  と言うか、クリスマスとしての思い出なんて全然ないやバーロー!などと突如として三角目になってしまうのであります。
 なんせ、前述したクリスマスの結婚式のミキサーとか、大残業とかあって・・・・その中で一番ヘビーなクリスマスだったのは、夜勤で迎えたクリスマスと言うのもあった。
 11月の終わり頃になって突然会社命令で「夜勤」と言う状態の仕事形態になってしまった事があった。

 本来、僕の勤めている会社は夜勤ってヤツは無かったりするのだが、その時大量に運び込まれた編集仕事ってのが、複数の機械を同時使用しつつ占領しなければならない&かなり複雑な仕事、と言う事で私に「作業責任者」何て言う物が押しつけられてしまったのだ。
 うむむむむむむむむむむ、と唸りまくった処でそこは哀しきサラリーマン、イヤとは言えないワケで、私はその翌日から夜の10時から朝の7時までの人になってしまったのであります。
 と言いつつ、他の人との仕事関係の打ち合わせがあったりするので、毎日夜8時ぐらいから会社に入って、朝は引継なんかで始業時間の8時以降まで仕事をしていた(まさか夜勤には残業手当が付かないとは知らなかった)
 なんか生活が完璧に逆転しちゃったワケっすが、体がどの時間帯に慣れてくれないで、常にダルい状態の人になってしまった。

 その突然の夜勤命令の為に、会社の泊まり掛け忘年会なんかも、直前キャンセルと言う事になってしまい、さらにクリスマスの夜も寂しい事になってしまったのだ。
 夜から朝まで、たった1人で会社の中で作業をするのも辛いが、その中にある1時間休憩を取らなければいけないと言うのも「いったいどーすりゃいいの?」状態だった。

 僕は毎日、会社の近くのセブンイレブンで弁当を購入して居たのだが、流石にクリスマスの夜に浮かれたメロディの流れるセブンイレブンで弁当を購入するのって、精神的にヘビーどころの話では無かった。
 レジの女の子でさえ同情するような目つきで・・・・・

1998年12月26日(土曜日) クリスマス音頭
 いきおいついでにクリスマスネタを続ける。
 ハッキシ言って、クリスマスが終わった瞬間に町の中は正月ムードで一新されちまうのだが、勢いづいた私を停めることはできないのだ。

 そんなワケでクリスマスの夜に1人で夜勤をやっていた私は、ふと思った。ま、クリスマスだと言っても仕事をしている人もいっぱいいるワケで、寂しくないやい。
 ある年のクリスマスの夜、僕は結局、残業が長引いて会社を出たのが12時を過ぎていた。今思うと、あの頃は仕事が山のようにあって、それはそれで幸せな時代だったのだな、と言う感じだったが、その時の僕は「ばーろーミンナとっとと帰りやがってぇぇぇ」と言う感じでぷんぷん君だったのだ。
 僕は結局、家に帰って寝るしかする事のないクリスマスの夜の町を疾走していた。
 町のあちこちにクリスマスの残骸の様なイルミネーションが点灯しているが、もうほとんどがクリスマスの残り火と言う状態で、寂しさに拍車を掛けていた。
 あぁ今年もろくな事がないまま終わりそうだなぁ
 などと、幸せであるべきクリスマスの夜に弱音を吐いている私がそこにいた。

 と、前方に何やら怪しく揺れる明かりが・・・・
 それはクリスマス飲酒運転取締強化月間に突入している警察官の姿だったのだ。
 ま、このクリスマスの夜に浮かれて騒いでトンチキな事をしたまま運転しているヤツがいるだろうっつー事で取り締まっているんだろうが、こちとらさっきまで机にしがみついて仕事をしてたんでぃべらぼぅめぇ、と言う感じだったのだ。
 で、停められた私の車の窓から中の臭いなどをかぎ取った警察官は「酒の臭い無し」と認識したのだろう、続いて「ちょっと免許証拝見」などと言い出すのだ。
 こちとらいたって善良な会社員だ、ちゃんと税金だって払っているし、免許だって無事故無違反の模範的なドライバーなのだ。何も恐れる事はないのだ。
 と思いつつ、基本的に権力にすぐ屈してしまう卑屈な性格の私は、かなり緊張して相手に不審者と思われないように努めて冷静な態度で接したりするのだ。
 「貴方のお手は煩わせませぬ、即座に免許証を提示しますです、はい」
 などと言う態度でこの場を素早く切り抜けようと・・・・・・・・・あれ?

 カバンに入っているハズの免許証が見あたらないのだ。
 私の通勤用のカバンの中には雑誌やら文庫本やら、色々な書類やら、FDやらMOやら、とにかくゴチャゴチャに入っているのだ。
 その中で免許証が迷子になってしまったらしい。確かにこのカバンの中に入っているのは確かなのだが、どうにも見あたらない。
 「あ、いやはや、こりゃどーも参ったね」てな意味不明の言葉をブツブツ言いながら私は必死にカバンの中を探し始めたのだ。
 その時、確かに警察官が小さなため息をついたのを聞き逃さなかった。
 「あぁぁぁぁぁ犯罪者としてこの警察官の脳裏にはインプットされてしまったに違いない」
 とその警察官は僕の車の後ろに数台の車がつかえているのを見て「あ、こっちに移動して」などと、完璧に調書を取る為に確保して有るスペースに僕の車を誘導しようとするではないか。
 あぁぁぁぁぁぁぁぁ僕の脳裏には走馬燈のように過去の楽しかった風景が浮かんでは消えた。
 僕は往生際悪く、カバンを逆さにしてその中身を助手席に全部ひっくり返したのだ。と、その中に入っていた雑誌の間に、探し続けていた免許証が挟まっているのではないか。
 僕は満面の笑みを浮かべながら「こ、これ」とその警察官に差し出すのであった。
 「あぁん?」と何かをいいたげな警察官はその免許証を受け取り、懐中電灯で照らしたかと思うと、急に興味を無くしたかのように免許証を突き返しながら「はい、いいすよ」と僕を無罪放免、釈放してくれたのだ。
 僕は慌ててその場から車を発進させ、しばらく走った後、小さな声で「ばーろー疑いやがって、俺様は税金納入者だぞ、ざけんなよぉ」などと意味不明の言葉を言ったりするのでありました。

 ま、色々考えれば、クリスマスの夜だってのに残業をする私も哀しいが、それ以上にクリスマスの夜、寒風吹きすさぶ中で交通検問している警察官もヘビーな精神状態だろうなぁ、大変だよなぁ。思わず、楽しそうにしている連中に「こぬやろ!」と怒りを露にしてしまうこともあるだろうなぁなどと思ったりするのだ。

 しかしクリスマスに関して言いたいことが一つある。
 クリスマスの夜にフライドチキン屋に並ぶ連中!クリスマスの夜に食べるのはチキンじゃねぇだろぉ! 

1998年12月27日(日曜日) 懇ろ
 とある事情で葬式でもないのに、その手の場所に行って来た。
 そこで焼香をする所に「死者を懇ろに」と言う張り紙がしてあった。
 「懇ろ」の読み方は「ねんごろ」が正しいのだが、うーむそうだったのかぁと意味不明に感心してしまったりするのであった。
 しかし、よく考えると日常であんまし使う言葉でもないのだが、一般的に「懇ろ」っつーと時代劇的な場面で「あの娘と懇ろになっちまって」などと言う状態で、エッチしちゃった状態を指したりする。
 そー考えていくと、葬式の場で出てくる「懇ろ」と、ラブリーな場で出てくる「懇ろ」では意味的に通じる所が無いような気がしちゃうのだ。

 そんな感じで、その日一日中頭の中で「懇ろ懇ろ懇ろ懇ろ懇ろ懇ろ懇ろ懇ろ懇ろ懇ろ・・・・・」とワケ判らないけれどゴロゴロしちゃっていたりしたのだ。
 まったくもって昔から、一つ意味不明な事にぶつかるとその意味が知りたくて知りたくてどーしょーも無くなってしまう、実に執念深い性格を持っていたりする。
 しかし、最近、若い人と話をしていて気が付いたのは「意味不明の言葉が出てきても、意味不明なまま受け流す」と言うのが普通なのだと言うことだった。
 とりあえず、一緒にだらだらしたりする仲間の年齢幅が広かったりするので会話の際に、こっちには判るけどこっちには判らない話、と言う物に神経がいっちゃったりする。
 なかなか面倒な性格なのだが、その場で会話に加われずに、いる人に対して語彙説明をしちゃったりするのだ、私ってヤツは。
 そんな時に、思っていた以上に意味が通じていなかったと言う事を知らされて「うむむむ、知らない事を知らないままでやり過ごしていたのか・・」などと思ってしまう。
 私なんて知らない言葉が出てくると「それって何?」とすぐ聞いてしまう様なヤツなので、その手の「知らないままに過ごす」と言う事が理解出来なかったりする。
 ま、会話の流れを壊しちゃいそうな時は、ぐっと我慢して後で調べたりするのだ。

 そんなワケで、その日が終わり家に帰った後で辞書を引いてみました。
1.まごころでするさま。心づかいのこまやかなさま。親切・丁寧
2.念入りにするさま。詳細
3.お互いに親しみあうさま。懇意
4.男女がひそかに情を通じること。また情交のある関係

 つまり心を通じ合わせるって事なのだな。
 日本語は色々深くて難しいのだ。
1998年12月28日(月曜日) 孤独なマラソンランナー
 寒いっす!と言いつつ、まじめなサラリーマンの私はいつものように車を走らせていたりするのでありますが、何ンと言うか、実に道がすいている。
 本来ならば、絶対的に圧倒的に基本的に渋滞していて、信号2回ぐらいで通り抜けるのが当たり前ってポイントが途中に2カ所程あったりするのだが、そんな苦労はどこにもなく、すいすいぃぃと通り抜けたり出来たりする。
 なんせ、ふと気が付くと、ある場所では前にも後ろにも車が走っていない状態だったりするのだ。
 ついでに歩いている人さえいない。
 うむむ、いつの間に世紀末が訪れて全ての人が死に絶えてしまったのだ?てな恐怖感に駆られてしまうのだ。  などと思いつつも車を飛ばしていると、そこそこの人影を見つけることが出来るのだが「てな事は?」と考えていくと、他の会社はもうすでに正月休みに入ってしまったのではないか?と言う新たな恐怖が盛り上がってくるのだ。
 確かに世間では不景気がどどーんとやってきて、会社に行ったはいいが、これと言って仕事がない、みたいな話を聞いたりもする。だから、いつもより早くから正月休みがやって来ているのではないか?
 ほとんど欧米並みにクリスマス休暇みたいな感じで、クリスマスに入ったのと同時に冬のバケーションてな感じになっているのか?
 なんかこー取り残された様な不安な気持ちになってしまうのだな。
 こんな感じに誰も居ない道を急ぐ私には、古い記憶の底で「昔も同じ様な取り残された様な切ない気持ちになった事がある・・・」と小さな痛みがぶり返してきたりするのだ。

 それは小学校3年の頃だった。
 いつもの様に母親に何度も「起きなさい」とせっつかれて渋々起きだし服を着替えた僕はいつもと違うムードに気が付いた。
 あ・・・テレビが付いていない。
 本来ならば子供には意味不明ながらNHKのニュースが流れていると言うのが安心の印だったのだが、今日に限ってテレビが付いていない。
 テーブルに目玉焼きを運んできた母親が「なんか夕べテレビ壊れちゃって付かなくなっちゃったんだよ」などと言っていた。
 「今日、電気屋さんに来て貰うから」などと言っている母親の言葉を聞きながら、テレビの上の壁に掛けてある柱時計をチェックした。
 え?7時35分・・・・?
 「ほらぼーっとしていないで早く食べて出かけないと遅刻しちゃうよ」などと、その時計を見たタイミングを見逃さずに、まだ半分頭が眠っている僕を慌てさせる様な事を言い出すのだ。
 いつも乗るバスはだいたい40分から45分にやってきて、それを逃すと次は8時10分になってしまい、かなりキツイ時間帯になってしまうのだ。どうしてもバスに乗り遅れるワケにはいかなかった。
 僕は慌ててごはんをかき込むと、ごちそうさまの挨拶もそこそこに家を飛び出した。
僕の家からバス停までの間には家は建っておらず、バス停までぐるりと遠回りをさせるように田畑が広がっていた。その道を僕は、それなりに一生懸命走るのだ。
 だいたい、毎日の様に同じように慌てて家を飛び出した他の小学生なんかがマラソンのラストスパートの様にぜぃぜぃ息を切らせながら同じ目的で走っているのがパターンだった。
 僕は当時、クラスで1番背が低かった事もあって(3月生まれのハンディあり)あんまし走るのが早くなかったのだが、それなりに一生懸命バス停に向かって走っていた。
 と、その時何か不思議な感じに襲われてしまったのだ。
 いつもならば、2・3人の同志がいたりするのだが、その日に限って誰も一緒に走っている人が居ないのだ。完璧に孤独なマラソンランナー状態で、黙々とバス停に向かって走るしか無かったのだ。
 それでも取り合えず、目の前をバスが通り過ぎると言う事もなくバス停にたどり着いた。
 ぜぃぜぃぜぃぜぃ・・・・と乱れた息を整えて・・・・・と、またしても異常な事態に気が付いてしまったのだ。バス停にも誰もいない。
 僕は全力疾走した後のアドレナリン値急上昇中の混乱した頭の中で考えた。
 ・・・・もうすでにバスはいってしまった後なのだ・・・・・。

 僕は激しいショックを受けてその場にしばらく立ち尽くした。
 あんなに一生懸命走ったのに、人生にはどんなに努力をしても報われない事もあるのだなぁなどと小学校3年生にして人生のむなしさを悟ってしまったワケなのだ。
 とりあえず家に帰って、次のバスが来るまで時間を潰そうと考え、僕はとぼとぼとさっき全力疾走で駆け抜けた道を引き返した。

 「あかぁさ〜ん、バス行っちゃったよぉ〜」と玄関を開けて家の中に入った瞬間、何か釈然としない空気が僕を包み込んだのだ。
 んんん?しばらく、その釈然としない理由が何なのか判明できなかったのだが、茶の間に入った瞬間に判明した。
 壊れたと言われていたテレビが付いているのだ。
 しかもその画面の中でニュースを読むNHKアナウンサーの斜め上には『7:05』の文字が・・・・

 結局、いつも朝寝坊でぎりぎりまで起きない僕を無理矢理起こす手段として、母親が仕組んだ時間差攻撃だったのだ。純真な私はそれにまんまとだまされた格好になってしまったのだ。
 私が世の中をひねくれて見る発端はこの辺りにあるかもしれない。

 などと遥か過去の事を思い出しつつ「まさか、会社休みなのに間違えて自分だけ出社しているなんて事はないよなぁ確かまだ、会社の大掃除はやっていないからなぁ」などと、とりあえず心の中で確認をしながら「あぁもう休みの会社ってうらやましいなぁ」などと思いつつ、やけに空いた道を走っていくのであった。
 しかし翌日はもっと愕然としてしまう程、道は空いていた。
1998年12月29日(火曜日) 年末キャッシュディスペンサー大作戦
 去年の暮れ、12月の30日、銀行に行った。
 正月は何かと金を使うイベントが突然やってきたりするのだが、三が日は銀行は開いていない。と言う事もあって行って来たのだが、凄かった。
 とにかく、キャッシュディスペンサーのコーナーは、順番待ちの人が外にまで溢れている。
 最初、大場駅前の静岡銀行に寄ろうかな?なんて考えていたのだが、それ以前に、銀行の前の道路は銀行に入ろうとしている車で大渋滞。銀行に入るどころか、その前の道を車で通行するのでさえままならない状況。ハッキシ言って、その時点でここを利用するのは辞めようと思ったのですよ。

 で、他の用事を済ませて帰る途中の熱函道路のキミサワ薬局横の静岡銀行に寄ることにした。ここならば、キミサワの駐車場がどどーんと控えているので、大場駅前みたいに駐車場確保の為の大混乱はないのだ。
 で、銀行に行ってみてうげーっと思ったのが、5台あるキャッシュディスペンサーにそれぞれ10数人の列。その列の最後尾は外にまで溢れていたりするのだ。が、背に腹は代えられぬとはこの事で、基本的に行列には並びたくないと言うポリシーを曲げざるを得ないのだ。

 で、大人しくその列に並ぶ。

 基本的にどの列も均等に人が並んでいて、どれを選んでも同じに見えたのだが、それが甘かった。こういう場の経験が少ない私は、読みをハズしてしまったのだ。
 同じように人数が並んでいるとしても、その流れのスピードは一定ではないのだ。

 ここで選ぶべき列の条件その1をチェックしていなかった。
 その1とは「若い人が多く含まれている列を選ぶ」と言う項目なのだ。

 基本的に、機械操作を当たり前と思っている世代は問題なく、カードを差し込み暗証番号をピピピピで引き落とし金額をピピピピで確認ボタンをポンとよどみなく操作を終了させカードと領収書に続いて現金が出てくるのを待てばいいのだ。そして、その様に早い行動をとる人は当然ながら現金をサイフなどに入れるのも素早い。サッ!と、他の人にどれくらい下ろしたのかを悟られない様な素早さですべての行程を終え、何事も無かったかの様にその場所を後にするのだ。
 が、それと相反するかのように、おばさんなんかがその場にいると、それだけで倍以上時間がかかってしまう事がある。若い人が金を下ろすのに1分かかるとしたら、2分、あるいは3分もかかってしまうのだ。当社比200%〜300%って処なのだ。

 まずスタートからしてつまずく。若い人の場合は列に並んでいる段階からカードを手に握りしめて対戦準備万全で挑むのだが、おばさんは自分の番になって目の前にキャッシュディスペンサーの機械が出現した段階で慌てて、カバンの中にあるサイフ、その中にあるカードなんかを取り出したりするのだ。しかも、慌てて取り出したカードを方向を逆にして無理矢理入れようとしたりするのだ。
 ま、カードをめでたく挿入したとしても、問題は解決していない。

 次の暗証番号で、また、つまずく。

 何かのメモに番号を書き込んでいたりして、それを見ながらゆっくり押したりする場合がある。これは自分のカードではなく、息子のとか、旦那のを下ろしてきてくれと頼まれた場合だけではなく、自分のカードでもこういう事があったりする。
 もっと強者は、この暗証番号をメモした紙を探すところから初めてしまうのだ。さっきカードを取りだしたカバンの中、サイフの中を調べ直したりするのだ。

 で、ゆっくりゆっくり、ひとつづつひとつづつ間違えないようにボタンを押すのだ。それでも、なお間違えてしまう人がいたりするから、世の中は科学では解明出来ない事が溢れているのだな。
 さすがに今回の年末の必殺こみこみ行列ではそんな人はいなかったけれど、以前目の前でお金を下ろそうとしていたおばさんが、これをやっていた。もしかしたらメモした数字自体が間違っていたのかもしれないが、3連続アウトで「使用中止」の表示を出現させ係員が飛んできたのを目撃している。
 で、順調とは言えないけれど、とりあえず暗証番号を入力する事には成功した。が、この後もすべての行動がゆっくりなのだ。表示されている文字をひとつひとつ噛みしめるかの様にゆっくり行動するのだ。で、めでたく金額も入力して確認も押した。

 まずカードと明細書がニュイッと出てくる。これをカバンの中に入れる作業なのだが、さっきカードを取りだしたサイフは・・・・丁寧な事に、それ以前と同じようにカバンの中にしまい込まれていたりする。だから、ふたたびカバンの中を探ってサイフを取り出してカードを入れるのだ。

 で、カードと領収書を機械から抜き取るとそれに続いて現金がプシュと出現する。
 この際、カードを抜き取って所定の場所にしまい込んだ事から安心して、肝心な現金を忘れてしまうケースが多いせいなのか、現金が機械の中に現れた時は「ピーガピーガピーガ」と警報音みたいのが流れている。
 普通ならば、カード&領収書を抜き取って現金が出てきてピーガピーガ音がして、に続いて素早く現金を抜き取りサイフに入れてその場を立ち去る。と言う行動になるのであるが、ときどき、おばさんなんかは、このピーガピーガをずっと鳴らしている人がいたりする。つまり、カードをサイフの中にしまった後、領収書の引き落とし金額・残高なんかを丁寧に確認して読んでいたりするのだ。その間ずっとピーガピーガ。

 で、やっと現金を受け取って・・・・ゆっくり数えるんだよなぁこれがまた。で、サイフに入れてカバンに入れて、やっとすべての行程が終了して次の人の番になるというワケなのだ。
 その間、隣の列は3人目になっていたりする事におばさんは関心を持っていない。

 こんな風に、列の中に年輩の人がいると、それで時間をかなりロスしてしまうと言う事は理解出来たと思いますが、もう1つ列を選ぶ場合のチェック項目があったりします。

 昼時に近い時間帯に事務員系制服姿の人(多くが女性)がいる列も要チェックなのだ。

 多くの会社がこの12月30日では仕事納めをして正月休みに突入していると言うのに、まだ制服姿でいる。と言うことは、基本的に年末ギリギリまで忙しい仕事だと言うのが想像できる。
 が、だいたいの会社は正月は基本的に休暇に入るハズなのだ。だから、遊ぶ為にも銀行で金を下ろさなくてはならない。
 しかしだ、この年末まで仕事をしなくては行けない位に忙しい職場なので、仕事中にフラフラと銀行に行っているヒマもない。しかも30日は銀行はキャッシュカードでさえ4時で終了してしまうと言うので、仕事が終わった後で、などという悠長なことも言ってられないのだ。
 そうなると、仕事関係で銀行に行かなければならない事務員の人にカードを渡して代理で現金を下ろして貰う。何ンて言う必殺技を使う人がいたりするのである。
 つまり、この年末に事務員姿でキャッシュディスペンサーの列に並んでいる人の場合、自分のだけでなく他人の分も複数カードを持っているケースがあったりするのだ。

 当然、事務員と言うこともあって銀行などに来る機会も多い。それ以前に仕事でコンピュータや電卓などを扱い馴れている為に、その操作は人よりも早いかもしれない。
 その操作スピードを普通の人が100だとすると、事務員は80でこなす事ができるかもしれない。が、それは1人分のカードのスピードなのだ。これが2人分だとするとスピードは160に落ちる。
 もっともこの時点でさえ、前述のモタモタしているおばさんより十分に早い。おばさんのスピードを230と仮定する。
 前述の通りに事務員が所要する時間を80と仮定したとして、この事務員が3人分のカードを下ろすと言うことになると、スピードは一気に240となり、一番の要注意人物になってしまうのだ。

 事務員が、誰か他の社員に現金を下ろして欲しいと頼まれたとする。すると、その場に居合わせた他の人も「じゃ俺のも頼むよ」と切り出すケースが無いとは言えない。それが2人から頼まれ、それに自分のを含めると、おばさんより時間のかかる迷惑な人に大変身してしまうのだ。

 例えば、その列に自分の前に10人並んでいたとする。その列を構成しているのが、一般的な人だけだとするとスピード計数は100×10=1000になる。
 計数100を1分と換算すると、10分で最後尾の人が作業を終了すると言うことになる。ハッキシ言って、行列に並ぶことが嫌いな私としては、この10分でも「うげげ」と言う気分なのだが。

 ここに、おばさん含有率40%の列があったとしよう。
 そうなると6人はそれぞれ100・おばさん4人がそれぞれ230で計算を進めると、100×6+230×4=1520となる。計数100=1分の計算で行くと15分強かかることになる。
 おばさんが4人含まれるだけで、最後尾の人は15分の待ち時間となってしまう。
 つまり5分の差がでる事になる。つまり、その間におばさん含有率0%の列はさらに5人の利用者を消化する事になるのだ。
 さらに複雑に、おばさん4人+事務員A(3人分)+事務員B(4人分)+一般4人と言う列があったとすると、230×4+80×3+80×4+100×4=1880と言う事で、19分弱かかってしまうのだ。その間におばさん&事務員含有率0%の列はほとんど2巡してしまうのだ。

 しかし、もっと恐ろしい予想できない事もある。

 おばさんが1人しか含有されていない列があったとする。
 他の列にはおばさんや事務員が複数人含有されている。この場合、即座におばさんが1人含有されていない列を選択してしまうのが、人情と言うものだろう。10人の中に1人おばさんがいたとして単純計算で1130、ま、1分程度遅れるぐらいだ。と安心して列に付くだろう。

 が、フェイントでこのおばさんが必殺「3連続アウト機械停止攻撃」を繰り出してしまうかもしれない。

 年末のキャッシュコーナーは戦場なのだ。
1998年12月30日(水曜日) 年末銀行関連話
 その年末に私が銀行のキャッシュディスペンサーの大行列に並んでいた時のことだ。
 斜め後ろ(隣の列)に立っていた、年の頃なら50才、これ以上昇進の見込みの無さそうな中間管理職って感じのオヤジがブツブツ文句を言っているのに気が付いた。

「まったく、何でこんなに混んでるんだよ。年末は混むって判っているんだから、もっと早く下ろしにくればいいのにまったく」
などと、自分もその年末に金を下ろしにきて混雑を作っている要因だってのを棚に上げてブツブツ文句を言い続けているのだ。

私は、思わず「あんたもやろ!」と、右手で胸を叩く突っ込みを入れたくなってしまったが、ここは我慢。黄金の右手を使う場所ではない。
 同じ時の事。
 私の名前は「よしみつ」と言う。そんなにムチャ珍しい名前でもないが、直接同じ名前の人にあった事が無いという程度に珍しい名前なのだ。

 昔の偉い将軍に漢字は違うけれど同じ名前の人がいた。
 かつていた「とんぼちゃん」と言うフォークグループの1人がやはり漢字が違うが同じ名前だった。
 去年「読めそうで読めない漢字」とかって言う文庫本がそこそこ売れた言語学者の人は漢字も同じ名前だった。
 マニアックなネタだが、渡辺満里奈のおとうさんも同じ名前らしい。(多分「満」と言う字が使われているんじゃないか?と想像できるので漢字は違うと思う)

 そんな感じで、メディアを通しては同じ名前の人に遭遇する事もあるが、直接、自分以外のよしみつサンに逢った事はまだない。

 で、その年末の銀行でキャッシュディスペンサーコーナーのすぐ横で、通常業務の銀行の窓口があったのだが、突然そこで私の名前が呼ばれたのだ。

「えっ?」と振り向いたのだが、どうも名字が「鈴木」で違う同名さんだったらしい。でも、その同名さんがどんな人物なのか気になってそっちを注目しているのだが、窓口に現れない。うむ?
 で、銀行員のおねえちゃんはその人の名前を何度も何度も連呼するのだ。うむむむ。
 しかし結局そこに何故か同名さんは現れなかった。
 ニアミスだけで結局、生まれて初めての遭遇は未遂に終わってしまったのだ。

 しかし、銀行で名前を連呼されていた同名さんだが、そんな風に素早く窓口に行かないと何度も名前を呼ばれてしまうのだ。
 で、以前経験した話。
 その日は何かの用があって、会社を休んだのか、半休でも取ったのか、会社の創設記念日だったのか忘れたが、平日のおだやかな昼下がりの銀行だった。
 キャッシュディスペンサーだけでは処理できない用事で、私はカウンターに書類を出して順番を待ちながら本を読んでいた。
 と、そこで事件は起こったのだ。突然、銀行カウンターのおねえちゃんが「たむらまさかず様」と名前を告げたのだ。

 え?田村正和????

 その場で順番を待っていた人々の間に小さなざわめきが起こった。事務員の制服を着た女性、買い物帰りのおばさん、中小企業の社長風のおじさん、それぞれが一斉に先ほど「たむらまさかず」と言う名前を告げたカウンターに注目をしたのだ。
 と、そこに出現したのは、小汚いおっさんだった。
うーむ(笑)
 しかし、たまたま自分と同姓同名の芸能人なんかがデビューして有名なんかになったら恥ずかしくてしょうがないだろうなぁ

 などと思いつつ、銀行から帰って、TVを付けながら部屋の大掃除をしていた時だった。TVの中で次の様なファックスが読まれていた。
「我が家の旦那は、この忙しい年末の大掃除だって言うのに、朝からパチンコだかに出かけて帰ってきません。どうかTVで呼びかけてください」なんて言う、たわいもない内容だった。
 で、次の瞬間TVの司会者が呼びかけた名前が、やはり名字は違うが同じ名前だった。
「田中よしみつさん早く家に帰ってください」と言う口調で始まって、途中から名字無しで呼び捨てで「よしみつ!早く帰れ!よしみつ!どこに行ってるんだ!」などと・・・・

 うーむ、どうしても私以外の同名さんは姿を現さないと言うのだな。
1998年12月31日(木曜日) 今年の私
 そんなワケでついに今年も終わってしまいますな。
 などと書いているのでありますが、当然ながらこれを読んでいる皆様にとっては「終わってしまいましたな」と言う状況だと思いますが、ま、日記なので過去形なのはしょーがないのだな。
 などと言いつつ、ほぼリアルタイムで1999年の1月に読んでいる人ばかりではなくて、真夏に読んでいる人もいたり、1999年の大晦日に1年遅れで読んでいる人もいたり、ヘタすりゃ、このHPが何年も何年も継続されて2035年あたりで「へぇ20世紀の人ってこんな事を考えていたんだ」などと歴史書として読まれて居たりするかもしれないのであったりするのであります。
 そんな人はここに書いてある文章や文体を真に受けて「20世紀の言語って語尾に『なのだ』とかって付けるんだぜ」などと言ってハジをかかないように。

 ま、そんなワケで1999年は皆さんどんな年でしたか?
 私はとりあえず、このHPを立ち上げた年って事でそれなりに意味のある年だったと思います。
 ついでに友人のバラ園のHP『エルローザ』なんて物まで立ち上げてしまっててんてこまい状態。
 などと言いつつ勢いで、もう1つHP『HAPPY BIRTHDAY'S CLUB』なんていう、とんでも無い物まで立ち上げてしまって大騒ぎだったっす。
 噂では、秘密にもう1つHPが立ち上がっているらしいっすけど、こっちはまだ未完成なので未公開っすけど、とにかく「インターネット」と言う世界へ向けて情報を発信できるツールを手に入れたと言う感じで、私の一人遊びにどれだけの人が喜んでくれるか?っつーのを実験した年だった様な気がします。
 この日記もだらだらと遅れながらとりあえず年末まで欠ける事無く書き続けてきたわけで、基本的に本来の自分用の日記ってヤツを3ページで終わらせる記録をここに打ち止め、しかも記録を更新しつづけているワケなので「自分で自分を誉めてあげたい」などと言う感じなのだ。
ま、途中で「たこやき便り」は夏に息切れをしてしまいそのままになっちまったけど、やっぱし日記で大量に文章を書いて、それ以外にもまとまった文章を書くってのは至難の業だという事に気が付いたっす。
 おかげで『現代用語の基礎的ではない知識』の新作を発表する場を失ってしまったけど、これはこれで1999年にはちゃんと、新作を書くための場を設定する予定っす。

 そんなワケで、ぐうたらの度がひどすぎる、毎日来ても日記が更新されていない。などの意見はありますが、とりあえず遅々としつつも前に進んでいるので、その辺はご勘弁をしつつ、来る1999年もよろしくお願いしますです。