ひねもす雑記
2004年05月21日〜31日


▲お断り書き
▲入院へのプロセス ▲4月以降の体調不良 ▲総合病院へ 
▲入院決定 ▲例の事件のカミングアウト ▲ここにその事件を書いた理由
▲浸透度 ▲睡眠について ▲脅迫的治療法 ▲歩くのだ 
▲THE 低血糖 ▲3000曲連続で聞くと9日間 ▲病人卒業 ▲新たな方向へ

[お断り書き]
    いつもと雑記のスタイルが違っていますが、現在、この雑記は病院で入力しています。(で更新して、読んでもらっているのは、たぶん退院後です)
    というのも、実は4月初旬から体調不良をいろいろ書いていましたが、その結果として入院となってしまった訳です。
    そのために、以前より「買おうか買うまいか」と悩み続けたノートパソコン(Mac信者なので結局Power Bookでやんす)まで購入してしまい、さらにいわゆるリハビリとしてウォーキングをする時に退屈しのぎに音楽を聞くためi-Podなんて物も購入してしまい、ハッキリ言って入院費よりそっちの方にとてつもなく金がかかってしまっている状態。
    てなわけで、この5月下旬の雑記はいつもと形態が違っていますが、ご了承して下さいませ。
[入院へのプロセス]
    実際のところ体調不良はこの4月に始まったものではなく、去年の夏前に単行本「知泉」の1巻を発行するために連日深夜まで作業をし、休日も図書館に出かけたり資料を集めたり探したりの作業を続け、まさに自由時間がまったくない状態を続けて体と精神的な部分を酷使しちゃったワケです。
    で、9月に1巻が出た後は「好評だったら2巻も」という話が当初からあったために、そのままの生活を延々と暮れまで続けたわけです。
    そのおかげもあって、2巻は「じゃ2巻を出しましょう」というGoサインがクリスマス直前に出て、そこからわずか1ヶ月後の1月末日に原稿アップできたワケっす。
    さらにイラストがあったり、なんだかんだがあって2月末日までかなりヘビーな日々を過ごしていたっす。

    実は、この状態に入る前に会社の健康診断で「血糖値がやや高い」と言われていたんですが、そりゃ毎日本職で朝から晩までほとんど座ったままの生活を続けて、さらに頭脳労働で異常に甘い物が食べたくなることもあり、さらに運動と名が付く物はここ数年していないような感じで、ハッキリ言ってブロイラー状態だったのでそりゃ血糖値も上がるさって事だったのだ。

    とりあえず今回、体調不良のために病院へ出かけて行き「異常な血糖値上昇」と診断されて、緊急検査入院となってしまったワケですが、いわゆる「糖尿病」なんてのは自分なんかと比べようがないほど太った人がなるもんだと思っていた。自分の場合、体重はこの5年ぐらい全然変化なしなので。
    で、今回入院して色々レクチャーを受けたんですが、血糖値が上がる要因の一つに「ストレス」って物があるらしく、精神的な圧迫を受けると体が必死にがんばろうと血糖値をあげてしまうそうなのだ。だから、血糖値が上がって当たり前という生活ではあったわけ。
    とにかくこの数ヶ月は自分史上最大のストレスの日々だったのは実感していたし、あの事を考えると胃が痛くなっていたので、なるべく考えないようにもしていた。
    自分的には胃潰瘍にでもなるんじゃないかと思ったんだけど(学生時代に経験済みなので)、なんとストレスによる血糖値上昇という事になるとは。
    もちろんストレスだけじゃなく、自分も悪いワケで、会社の仕事をあげて、自宅に戻り深夜まで本を書く作業を続け、真夜中に異常に甘い物が欲しくなり(いわゆる脳が欲しがるらしい)我慢できずに...。
    そんな生活を半年続けてきたわけです。いわゆる「この半年忙しくてテレビも新聞も見ていない」なんて言い訳しちゃいそうなぐらいに、休日も正月もずっと作業していた。
[4月以降の体調不良]
    で、4月から風邪を引いてしまいその結果、体力をキープしようと毎日ドリンク剤を飲んだのもさらに悪かった。
    そんな体調ボロボロ状態の時に運悪く、例のうんちく関連がどんどんエスカレートして無視したいが出来ない状態になり、今まで経験した事のないようなストレス状態に落ち込んでしまったのだ。
    とにかく、悪い条件がどんどん積み重なってしまい、自分で自分の体調をコントロールできない状態にまでなってしまった。
    いやはや社会人失格なんだけどね。

    4月は風邪で咳がとまらないという事で、町医者にかかっていたんだけど、数度行っても「風邪が長引いている」ということだった。
    そこで「風邪ならば栄養をつけなくては」といつもよりカロリーが高い物を食べたり、ドリンク剤を飲んだり、まさかそれが体調不良に拍車をかけるとは知らずに日々を過ごしていたわけです。(糖尿病は体の免疫力を落とすために、他の病気が治りにくくなる)
    しかし、5月に入っても風邪が一向に良くならないので「これは一度精密検査を受けるしかない」と決断し、総合病院へ出かけた。

    [2004.05.00-今日の雑学]テーマ『ドリンク剤』
    「リポビタンD」の名前の由来は脂肪分解酵素のリポクラシスとビタミンの合成語。最後のDはデリシャスと言う意味もあるが、正しくはダイナミックと言う意味。
    「ユンケル皇帝液」のCMを10数年に渡ってタモリがやっていたのは、70年代、まだ有名ではなかったユンケルをオールナイトニッポンの中で毎週「これを飲めば疲れが一気に抜ける」と話題にした事がキッカケで、毎週のように佐藤製薬が差し入れをし、そのつきあいから始まった。(当時タモリは「シニカルヒステリーツアー」という全国ツアーを行っていた)
    ちなみに「ユンケル」とは『蘊蓄の貴公子』というフレーズでお馴染みの「貴公子」をドイツ語で言った物です。
[総合病院へ]
    そこでまず血液を採ったわけですが、その瞬間「こりゃ糖尿病になっていますね」という診断。
    ありゃりゃこりゃ最悪に人聞きの悪い病気になってしまったなぁと思ったわけで、なんせ尿から糖が...という印象しかない病気なので。
    しかし血圧は正常、コルステロール値は正常、とにかく血糖値だけが異常に高いという状態なので、一般的な「長い間に蓄積された生活習慣によってどうしようもない状態になっている」という感じではなかったのだ。

    自分でも「この半年の異常な状態が血糖値をあげた」というのを理解していた。
    しかし一般的な血糖値が70〜120(空腹時)〜140(食後2時間以内)という状態なのに対し、そこで測った数値がなんと352という「おまえはギネス挑戦者か?」という感じの高ポイントをたたき出していたのだ。通常の二人分って凄いっす。
    そんな状態なのに他の数値はほとんど正常ってのも、逆に異常。
    だから糖尿病と言っても、いわゆる長年の悪い生活習慣の積み重ねによる物という状態ではなく、急性糖尿病って感じなのだ。自分でもこの状態の要因がハッキリしているのだ。
[入院へ]
    で、どうすりゃいいのさ?ってことで医者に聞いたところ「こりゃ2週間以上入院をしてリハビリで体調を戻せるところまで戻すしかありませんな、出来ることなら今すぐ入院してもらいたいぐらいです」などと、あまりにいきなりな事を言い出すのだ。
    う〜む、本職の仕事もそう休めないしなぁ
    しかし、ここで無理しちゃったら自分の残りの人生ってやつはボロボロになってしまうので、直せる時に直せるところまでやっておかなくては!となった。
    会社の方には数日出勤して、その間に自分が出来る仕事は片付け、色々引き継がないといけない仕事は引き継いで、入院ということになってしまった。

    そんなこんなもあって、色々入院のためにしなくてはいけない事が山積みになってしまったので、頭の中では「入院前に雑記の未更新部分をなんとかしなくては」とか「メルマガも発行できる物はなんとかしよう(まぐまぐは2週間分の前もっての発行予約が出来る)」とか色々考えていたことが出来ずに、病院生活が始まってしまった。
    食事関係の生活での悪い部分は自分では把握していた。食事事態はそんなに肉とか好きでもないし、油っぽい物を食べるわけでもないし、量も食べないのでそこに問題は少ないことは分かっていた。
    問題は作業中に何気につまんでしまい、とまらなくなってしまう菓子類と飲料関係なのだ。

    [2004.05.00-今日の雑学]テーマ『病院』
    病床数が20以上の施設を「病院」、1〜19床までを「医院」、1床も無い施設を「診療所」と呼ぶ。
    バグダッドに病院を建てた時、候補地のいくつかに肉の塊を吊り下げて置いた。その中で最も腐るのが遅かった地点に病院を建てた。
    最近の手術用の白衣は緑色(白衣が緑色って日本語変ですが)。手術中に赤い血を見続けていると目の網膜に焼きつき、白を見たとき赤の反対色の緑の残像が見える。そのために壁や白衣を緑色にした。さらに、緑色は患者や医師の緊張を和らげる作用もある。
    お見舞いに鉢植えの花を持っていってはいけない理由が「根付く=寝付く」と言われる事からとされているが、他にも鉢植えは昼間は炭酸ガスを吸って酸素を出しているが、夜間は逆に酸素を吸って炭酸ガスを出すため、室内の空気が悪くなるという理由もある。
[例の事件のカミングアウト]
    で、血糖値をあげる1つの要因になっているストレスの大きな例のうんちく事件ですが、これはどうしようもないなぁ、自分でそっち方面はシャットアウトして無視するしかないかなぁと考えていた。
    確かに、その事を考えると意味不明に精神的にどんよりしちゃうので考えないようにしていたし、2ちゃんねるなどの掲示板関係も見ないようにしていたし、嫌がらせとか抗議メールとおぼしき物はなるべく読まないようにしていたし、そうするしかないかなと思っていた。
    が、入院と前後して例の件で、その某氏がテレビで「うんちく王にどうしたらなるか?と聞かれますが、知識の泉と書いて知泉という本があるんですが、これを読めばうんちく王になれます」といきなりのカミングアウト。

    ま、超深夜の時間帯の関東ローカルの番組なのでほとんどの人が知らないと思うんですが、ある種これまで無視を続けてきたことに対して始めて触れたという状態。
    その件に関して「知泉作者と事務所なりが手をうったんだろう」とか「金で解決したんじゃないか」みたいな意見もあったらしいんですが、ハッキリ言ってそんな事は一切無いっす。
    事務所と手を打つどころか、メールの一つももらったこと無いわけで、その超深夜の番組を見ている人がいなければ、そんなカミングアウトすら知らない状態だったわけで。

    ま、その番組は慰労宴会形式をとっていて生放送で酒を飲んでぐだぐだ話していて、その番組の終了近くで突然そんな事を言い出したそうで、それが意図的な物なのか、酒の勢いなのかは不明ですが、例のうんちく特番以降はほとんどテレビでうんちくを語らなくなったということからみて、この事が凄く大きく引っ掛かっていたんだろうなと思う。
[ここにその事件を書いた理由]
    そのタレントも「番組による被害者だ」みたいな意見もあるんだけど、そこは自分には判断出来ない。あまりにも立場が違うので。
    ただ、自分はそのタレントうんぬんではなく「芸人としてカッコ悪い仕事をしているな」と思っただけで、それ以上の事は思わないっす。
    自分が本を書く時は自分がその時点で出来うる最大限の努力をして書いたつもりだから。自分の名前を出す仕事ってのはそれなりに自己責任が伴う物だと思う。良ければそれなりに評価をされ、悪ければ叩かれるわけなので。

    それとこの雑記にその事を書くのは告発とか何とかではないっす。これまでだって、芸能や出版や音楽なんかで気が付いたことはだらだら書いているだけで、某売り上げベストセラーのタイトルが他の作品のパクリなのでカッコ悪いって事も書いているし。
    たまたま自分の書いた本がそういう事になったから「作者自ら」みたいな状態になっただけで、自分が書いた本じゃなかったとしても、こんな事に気が付いたら書いていたと思う。ただ自分が書いていなかったら全然気が付かないような物だったんだろうけど。
    だからそれを訴えて裁判起こすとか、そのタレントを貶めようとか(個人的にはカッコ悪い仕事をする芸人だと言う軽蔑感はあるけど)、賠償金をせしめるとか、そんな事は考えていない。
    ただそんな芸人がいて、こんなカッコ悪い仕事をしていますよと言うことを、いつもどおりに雑記に書いただけなのだ。
    それとテレビと書籍という舞台は違うけれど「雑学」という括りで考えた時に、「知泉」に掲載されている内容は「トリビアの泉」や「うんちく王」で語られた物と被ってはいけないと自分に足枷を履かせて、サイト当初から書いてあったお気に入り雑学があったとしてもそれは意図的に外した。(当然TVの方がメディアとして大きいので、そっちでやった物を書籍に取り上げると「これってパクリじゃん」と言われてしまうのが目に見えていますから)
    その程度は物を作る時(所詮自分の創造物ではなく編集物ですが)の、読者に対しての「より楽しめるものを」という姿勢であるべきだと思っている。それを他人に強要するつもりはないけれど。

    という事で入院中はそれ以上、この事に関しては考えないようにする。
    とりあえずストレスの要因も少しは低減されたかなって感じなのだ。
    (退院後読んだメールで「告白したんだからもう雑記のその事について書いた文章を削除しろ」みたいな物もあったんだけど、それはまた問題が違うと思う)
    その某氏がカミングアウトしたからといって過去は消せる物でもない。過去に年金をおさめていなかったと判明した政治家が謝罪(ただの釈明とか言い訳か)したって事が報道されても、それで禊ぎがすんだ訳ではないし。
    別にそのタレントに興味ある訳でもないし、たぶん知泉からの蘊蓄を言わなくなり、嫌がらせや抗議メールが無くなれば、自分的にはほとんど興味がないその他大勢のタレントに戻ってしまうと思うので、そんなにこだわるような相手でもないと思っている。
    昔から芸人というのはクリエイティブでいるべきと思っているので。
[浸透度]
    しかし、病院でナースに単行本の「知泉」をプレゼントしたんだけれど、それなりに評判が良く、中には「じゃ、こんな雑学知ってる?」なんて勝負を仕掛けてくる人もいたり、疑問だった事を聞きに来た人もいて、それに答えたりもした。(やっぱし蘊蓄知っている人ってモテモテ君になるんだと実感したけどさ)
    その時に一人のナースが「色々な事知っているんだぁ、お笑いのくりぃむしちゅーの上田っていうんだっけ、あの人みたいだよね」などと発言した。
    こっちとしては苦笑いなんですが、その時に他のナース(みんな20代中盤って感じ)の反応。
    「誰それ?」「知らない」
    で言い出しのナースが「ほら、よくテレビに出て蘊蓄とかいって、『ちなみに!』なんてやっている人」と言う説明をして、やっと「あぁなんとなく判る」と言う状態でした。

    ネットとかやって、それなりにそっち方面を知っていたり、自分なんかも深夜のバラエティをそこそこ見ているので、昔からそれなりに知っていたんですが、世間での浸透度はそんな物かなぁと言う状態を痛感したのだ。
    そういえば、去年末頃、今回の話題が出始めた時にバラ園常務に話した時も「誰それ」だった。しばらくして「あぁあれがくりぃむしちゅーって言うんだ、でどっちがその上田って人?」状態でした。
    そんな感じなんだろうな、バラエティとかにそれほど興味のない一般的な生活をしている人々の中での浸透度は。
[睡眠について]
    てなわけで病院生活を余儀無くされているのですが、のんびり療養なんて状態ではなく、毎日スケジュールぎっしりで、入院前に会社の人から言われていた「暇すぎて大量の本を読んだ」なんて計画は当初から出来ないって事になってしまった。

    朝起きてから採血やらいろいろな測定があり、その後は食後の運動、それが終わって一息付いた直後から、今度はいろいろな勉強があって、一息付いたと思ったらもう昼で、昼食を食べたと思ったらその直後にまた運動(食事の直後にウォーキングをするのだ)、それが終わって一息付いた直後に再び勉強やらなんやら、それが終わって少し休憩した時にはすでに夕食の時間、その夕食を食べてまた運動、運動から帰ってきて一息ついたら風呂の時間で、風呂から出てきたらもう時間は8時近くで、夜は9時に消灯。

    もう何もする時間ないっす。
    でもそれまでの日々、というか中学高校時代から夜は1時2時まで何かを作業すると言うのが染み付いているので、9時消灯ってのは激しくきつい事なのだ。当然寝ることなんて出来やしない。いくら体が疲れていたとしても全然眠れない。

    と言うことで、こういう時は持ち込んだノートパソコンが役に立つのだ。なんせDVDも見ることが出来る。
    今まで映画ソフトを何枚も購入しているが、買っただけで満足しちゃって見ていない物も多い。なんだかんだ忙しくてってのもあるんだけれど。そこでそれらのソフトを何枚も持ってきているのだ。ビデオと違ってDVDはパッケージから取り出すとコンパクトになるので楽なのだ。
    で、それらを見始めたのだが、それまで全然眠れなかったのに見始めるといきなり眠くなる。で、気が付くと熟睡しているのだ。当然映画は終わって最初のメニュー画面が表示されている。
    ということで、毎晩寝る前に映画ソフトを流し、それによって熟睡を誘っていたわけです。

    自分がいたのは4人部屋だったんですがその中で睡眠に関するエピソード。
    同室にかなり高齢のおじいさんがいて、基本的に車椅子の生活だったので付き添いの奥さんが帰った後はナースに頼ってしまうわけです。
    で、このおじいさん、イビキが凄い。ぐご〜っ、ぐぎゅぎゅぎゅぎゅっ、ぐご〜っ、ぐぎゅぎゅぎゅぎゅっ、と寄せては引くすべての瞬間に轟音を発している。その音にもすぐに慣れてはしまったのですが、その音が時々ピタッと止まることがある。
    で、次の瞬間ベッドのほうでゴソゴソと音がしたかと思うとナースコールの音が響くわけです。真夜中の宿直ナースが慌ててやってくると、そのおじいさんが一言「眠れないんだが」
    きっと同室の患者すべてが心の中でツッコミを入れていたと思う。
[脅迫的治療法]
    しかし、日々スケジュールぎっしりなんですが、その中で色々病気や栄養学についての授業があった。
    こうやって授業って形で勉強するのはほんとうに久々なので、そこはかとなく楽しい。なんか知識を仕入れるってのは好きなのだ。受験勉強とかじゃなく、純粋に何かを知るっていうのは面白い事なのだ。
    (と言いつつ、退院直前にはテストもあるんだけど)

    しかし、病気についての内容ってのが「足が壊死して切断」や「トイレで踏ん張った瞬間に眼底出血して失明」とか、ある意味脅しの連続。そんでもって怖い写真を何度も見せられるので、精神的にぐったりきちゃうのだ。
    そりゃ、この糖尿病ってのは全然自覚がない病気で、自分だってこの数年体重の変化も無いし、そんなに酷く肥っているわけでもないし(周りを見渡して自分よりって人は山ほどいるハズ)、病気を宣言された時に「何故?」と思ってしまったほどなのだ。
    そんな人々に「てめえら!こんなに怖い病気だって事を自覚しろ!おらおらおら」と恐怖心を煽って、自分で治療する方向へ持っていくというシステムだってのはよく解る。
    おかげで日々ビクビクしてましたがな。

    自覚がないって病気で、眼底出血も直前まで「ちょっと目がかすむ」とか「視力が落ちつつあるのかな」程度できて、いきなり目の中の血管がブチ切れて失明となってしまうとか言われ、その眼底を検査した時も結果が出るまで「目の血管が濁っていたらどうしよう」などと不安でドキドキしていたわけです。そうなってしまったら完治する事が出来ず、あくまでもその状態をキープするしかないとか言われていたので。
    しかも最近ちょっと目が疲れ気味で視力が落ちたような気がしていたので、マジに検査の結果が出るまで「悪い状態が進行していたらどうしよう」と小さい胸を痛めていたわけです。
    結局「まったく心配なし、きれいな物ですよ」でした。

    しかし、こんな風に脅しつつ行っていかないとマジに自覚の全然ない病気なので「まだオレは大丈夫だろ」的に治療をしないケースが多いんだろうなぁ
    といいつつ、ナースさんに聞くとこんな風にリハビリ入院する人でリピーターがかなり多いそうで、それなりに学習して帰ってもしばらくすると「大丈夫だろ」とそれまで以上に荒れた生活になってしまうんだそうだ。
    基本的に糖尿病なんてのは長年の蓄積が出てくるような病気なので、治そうと心で思ってもそう簡単に治せるような物じゃないって事なのだ。

    自分の場合は、この数カ月でかなり生活的に悪い方向へ傾いて、そのトドメとして今まで感じた事のないような激しいストレスに晒されてしまったという部分があるので、それさえ解消出来れば!と思っている。
    という「治すのなんて簡単じゃん」という甘い気持ちが悪いそうで、そこから「今日ぐらいはいいじゃん」となって、結果再発してしまうのだ。気を締めてかからなくては。
[歩くのだ]
    とにかく食事の後は歩く。田舎の療養所も兼ねた総合病院なので、とにかく敷地が広く周囲をぐるっと1周するだけで1キロ以上ある。歩数にして3000歩ぐらい。時間にして10分ちょっと。それを毎食事後に3周以上歩くのが自分に架せられた課題なのだ。
    3キロや4キロなんてそんな大変な距離ではないとか思っていたんだけれど、やはり長年ほとんど動かない椅子に座りっぱなしの仕事をしてきた人間は足腰弱っているってのを実感しました。
    かなりキツイ。最初の頃は毎回終了時には汗だくで息が上がってぼろぼろでした。が、徐々に体が慣れていったのか、別段とんでもない苦行って感じでもなくなってしまい、もう何周でもOKよん、となりつつあった。

    [2004.05.00-今日の雑学]テーマ『歩く』
    散歩という概念を日本で初めてやったのは勝海舟と単行本に書いたが、散歩の語源。中国に古くから「五石散」と言う漢方薬があり、これを飲むと体がポカポカしてくる。その効果を高める為には歩くなど体を動かす事とされていた為に「五石散の為の歩き」が「散歩」と呼ばれるようになった。
    再び右手右足を一緒に出す「なんば歩き」について。日本古来の歩き方だと言う証拠に、相撲の摺り足は右手足同時、あるいは歌舞伎の動きも同様。
    それ以前にこの歩き方が本能なのは、赤ちゃんが歩き始めた時、右手右足を同時に動かす。
[THE 低血糖]
    その最初の頃、どんな状況か解らないので、とりあえず「血糖値を下げる」という目的で食事前に血糖値を強制的に下げる胃で糖分を吸収しないような薬を飲んでいた。
    が、基本的にそんなにひどく病的な状態じゃなかったため、その薬を飲んで食事をしてその後歩いていた時に低血糖になってしまったのだ。
    つまり体を動かそうと思っても、体内に蓄積された糖分が欠乏してエンジンがスカンスカン言っている状態。はっきり言って高血糖の逆なのだから始末に負えない。

    先生から「貧血で倒れる時のような現象になる」と聞かされていたので、小学校の時に朝礼のたびに保健室に行っていたような貧血王の私は「まかしとき!」と考えていたのだ。
    その時は、いつもより調子よく「本来3周の所をあと1周回っちゃおうかな、いつもより多く廻しておりますなんちって」などと考えながら3週目のラスト部分を歩いていた。
    が、本当にいきなりだった。

    それまで大きく振っていた腕がずしりと重くなり、それと同時に足が上がらなくなってしまった。貧血のように意識が遠のくとか、目の前が極彩色に彩られるような感じではなく、いきなり体が言うことを利かなくなった状態。
    もしかしてこれが低血糖?と思った瞬間、さっき昼食を食べたハズなのにいきなりお腹が異常な空腹を訴えてきた。あぁ腹減った。
    さっきまで心地よい汗をかいていたハズなのに、瞬間それが冷や汗になって脇の下をじんやりと冷やし始めた。
    歩こうと気持ちは考えているのだが、足が上がらない。本当に自分の体が自分の物ではないような感覚なのだ。
    コースの後半だったので、そのままナースセンターへゆっくりと帰還。

    そこで血糖値を図ると、本来血糖値の下が70辺りが最低ラインなのだが、いっきに68まで下がっていた。
    そこでナースさんがブドウ糖を溶かした水を持ってきてくれ、それをグビグビ飲み干し、その後はベッドで横になった。約30分後に再び計測した所、正常値の110になっていたのだが、それまで健康そのものの病人だった私が、すっかり正真正銘の病人となってぐったりとベッドに横たわるしかない状態になってしまった。
    あとは夕飯を待つだけなのだ。

    その後「きっと薬が効きすぎたんだろう」ということで量を半分にしたのだが、それでも低血糖を再び起こしてしまった。
    結局1週目にして血糖値が正常な人と同じになってしまい(翌1週間は下手すれば正常の人より低かった)、薬を使った治療はあっという間に終了した。
[3000曲連続で聞くと9日間]
    そんなこんなで病院にいる間はもちろんの事、退院してからも食後はなるべく歩くことという指令が出されてしまったのであります。
    とは言いつつ、ナースさん達も「自分がもし食後歩けなんて言われても、仕事の関係やいろいろで絶対無理だと分かっているけどね」などと発言していた。
    結局「出来る限りの中で無理をせず」という状態で歩くという事なのだ。
    しかし、歩くって言うのはそう楽しい事でもない。基本的に常に何かをしていないと精神的にキツイとか思ってしまうような、貧乏性の自分としては特に。

    という事で、少しでも気を紛らわせるように「i-Pod」なんて物を買ってしまった。いわゆるデジタルなウォークマンみたいな物でアップル社から出ている奴。そこにMP4スタイルにした音楽データをガンガンと放り込んでしまう。音源だったら我が家には腐るほどある。とりあえず4桁の枚数CDが突破したのは把握しているが、それ以降どれだけ増えたのかは恐ろしくて数えていないし、あえてそこを考えないようにしている。
    で、ガンガンとデータ化して放り込む。

    とりあえず現時点で3000曲が入っている。CDの1枚に10曲入っているとしてアルバム300枚分の曲ということになる。で、連続して演奏させると、これだけで9日間流しっ放しになってしまうのだ。データとしては現在11ギガで、まだ余裕はある。といいつつ自宅の未データ化CDもまだ4分の3ぐらいあるみたいなので、残りはゆっくりとデータ化する事にします。
    それでもデータは50ギガ程度だと思うので、充分延々演奏しつづけるジュークボックスになる訳で、ウォーキングの環境を整えるついでに自宅作業の環境を整える事にも一役買ってしまう訳なのだ。データ化したら、部屋の一部を占領しているCDも隠れた所にしまい込む事も出来るって事で、いいことずくめじゃないっすか。

    そんなこんなでウォーキングをしながらi-Podで音楽を聴いているんですが、ランダム演奏にしているととんでもない状態になってそれなりに楽しい。
    なんせ、ミッシェルガンエレファントのヘビーな曲が終わった瞬間にドリフのツーレロ節が流れたり、はたまたMISAの感動的な曲の直後にうなずきトリオのうなずきマーチが流れたり、はたまた東宝ゴジラシリーズの効果音付き伊福部昭サウンドトラックから「大ダコ」なんて曲で効果音としてネチョリネチョリというタコの粘った音が流れたり、タイマーズのライブ盤で「おぉぉし行くぜ!おらおら行くぜ!」と清志郎によく似たボーカルのゼリー氏が叫んだ次の瞬間、いきなり松たか子が歌い始めたり、もうランダムって選曲がぐちゃぐちゃ。

    というか、いったいどんな曲をチョイスしてデータ化してんだよ、それ以前にお前の聞く音楽の方向性ってのは無いのかよ!って事なんだが。
    あと、CD初期の1980年代に作られた物って、音の大きさのレベルが全体的に低いとか、やはりデジタル録音初期の音は異常に堅い(というかあの時代それが流行だったんですけどね)とか、ビートルズ辺りのステレオ初期の無茶なステレオ感とか、それまでカーステレオで聞くとかが主流だったので、こうやってヘッドフォン状態で細かく音を聞くと新たな発見もある。
    それなりに楽しみを見つけたりもするのだ。

    [2004.05.00-今日の雑学]テーマ『ウォークマン』
    歩きながら音楽を聴くというとウォークマンが元祖的存在。しかし英語でウォークマンだと「うろつき歩く人」と良くないイメージがある。そこで当初アメリカ向けには「SOUND ABOUT」と言う商品名で売り出した。
    しかし来日したミュージシャンが日本土産でウォークマンを買って帰っり、音楽関係者の間でそっちの名前が有名になり、まったく内容が同じ商品があるのに関わらず日本販売のウォークマンが大量に輸入される現象が起こり、結果としてアメリカ向け商品も「WALK MAN」に変更された。
[病人卒業]
    で、本編の病気の方ですが、一般的に糖尿病ってのは長い間の習慣が積み重なって、つもりつもった物が溢れ出て「あなたは見事に糖尿病です。どこに出しても恥ずかしくない糖尿病です」と宣言されちゃうような物なんで、いわゆる発病しちゃった人はその後、一生つき合って行かなくてはいけない病気。と言われている。
    が、自分の場合、いわゆる急性糖尿病みたいな物で「ま、なりやすい体質であることはあるんだけど、今治しておけば治るんじゃないの?」程度の、諸先輩方の前に出た時、恥ずかしくて糖尿病なんて言えないような状態っす。

    実際、先週の病院で「入院しなさい」と言われた時はとんでもない数値が出ていたんですが、それ以降の入院準備をしていた数日間は反省して健康な食生活をしていたせいなのか、入院して計測した段階で数値はほとんど正常値になっていたって訳であります。
    そのせいもあって、薬で無理に下げようとしたせいで低血糖にもなったんだと思うんですが。
    それ以外の血圧は正常値、コルステロール値も正常値、という状態なので、本当に異常なストレスと乱れた生活のせいで急性糖尿病になったって感じでやんす。
    しかも、低カロリー食と、毎食後の運動ですっかり健康体。

    あとはとりあえず数カ月分の蓄積が残ってしまうヘモグロビンの数値が下がれば完璧。これは数カ月かかって落とすしかないんですが、とりあえずこの入院の間にもガシガシと下がっていたので、この先も真面目な生活をしていれば秋口にはすっかり健康体になっていることでしょう。
[新たな方向へ]
    で、色々ぼけーっと考えると、ちょうど1年前の今「これまでの自分を変えるぞ!」と一大決心して自分で行動を起こした「似顔絵展」なんてのがあった訳で、そう考えるとずいぶんエピソード満載の1年間だったのだ。

    でもなんか、それまで考える事がなかった色々な事、それは基本的に物を作るという自分の中で核になっている部分だけど、そこについて改めて始めた事が沢山あったような1年だった。
    自分が物を作る事の意味、それを他人に見せることの意味、それを評価する人々の意見、そして最後にある種の反面教師としての「あくまでもクリエイティブな作業をする人としてやっちゃいけない事」を体現してくれた某氏の事、痛みも多かったですが、収穫も多かったハズです。

    てな訳で、この先どう転がっていくのか不明ですが、ある種、いい一区切りが出来たと思うので、新たな展開の為にいろいろ動き回ろうと思っています。
    心配してくれた皆様、この馬鹿げた迷走飛行はまだ続きます。


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