秘書

ひ：秘書：ひしょ

秘密の書物？ †

• 基本的には、議員先生や会社の社長など役員などの仕事を円滑にするために、細かいアポイントメントや資料の手配などをてきぱきとこなす仕事を「秘書」と言います。
  が、現実的にそんな職種の人とほとんど接点がないために「秘書」と聞いた場合、連想として「美人」と言う言葉がついたり、はたまたちょっぴりセクシーなイメージがついて回ってしまったりします（かなり偏見あり）。
  

• 実はもともと秘書とは、その漢字を見て解るように「秘密にしている書物」の事を差していました。いわゆる、武術などの秘伝・奥義などを記した本、天子の所蔵する宮中の文章などの事を言っていたのです。
  昔の中国では、珍しい書物などを集めた叢書（そうしょ）には『龍威秘書：りゅういひしょ』や『津逮秘書：しんたいひしょ』などと言う名前を付けており、これらの書物を管理する部署の事を「秘書省」と呼んでいました。
  宋の時代に書かれた書物には、後漢時代に「初めて秘書監を置き、いっさいの秘書を支配せしむ。秘書の名はここに始まる」と書かれています。
  その後、中国では近年になるまで蔵書を守る管轄には「秘書監」という役職が存在していたのですが、日本の場合は「図書頭：ずしょのかみ」と呼んでいました。
  

• 日本で『秘書』と言う言葉が現在のように使用されはじめたのは、明治以降のことで、英語の《secretary》のことを最初「書記」と書かれていたのですが、それが「秘書記」に変化し、大正時代には「秘書」として定着したものです。その頃にはすでに女学校などでも英文速記や英文タイプなどを「秘書」として教える処が現れはじめたとされています。
  実は、現在の中国でも「秘書」というと、部門の責任者の補佐をしたり、重要な文章を管理したりする仕事となっており、日本語の秘書とほとんど同じになっています。と言うのも、この「秘書」は日本語の逆輸入で使用され始めたものだからなのです。
  

更新履歴 †

• 2000.00.00.知泉